一つの理論で、証明なしに主張されている命題を、その理論の公理とよぶことにしよう。この公理を述べるのに使われている単語の意味は、その理論の使われる場面によって明らかであることも多い。しかし、数学などでは、逆に、この単語の意味をわざと不定にしておくこともある。たとえば、
aとbとの間にRが成り立てば、bとaとの間にもRが成り立つ。
このことは、Rという関係が、可逆的であることを述べている公理であるが、このRが具体的にどういう関係を表しているかについては何も述べてない。そうして、Rが兄弟関係であっても、「同一の平面上にある」という関係であっても、この公理は成り立つ。このほか、無数の関係についてこの公理が成り立つことは、少し考えてみれば明らかであろう。このように、わざと単語の意味を不定にしておくことで、一組の公理が多くの事柄に当てはまるようになり、数学の応用の範囲が広くなるということがあるのである。この不定なことばの意味を理論の応用の場合などに確定させることを、この公理の組の解釈という。
論理学には、この意味での解釈の一般論を、集合論を応用して調べる分野があり、これをモデル理論という。とくに興味深いのは、集合論自体についてのモデル理論である。解釈と反対に、意味のよくわかった事柄を論理記号を使って厳密な公理論の形に表すことを「形式化」という。
[吉田夏彦]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…過去のテキストはことばづかいひとつを取っても異質であり,そのまま理解できるものではなく,辞書その他の手段やさまざまな方法を用いて,その意味や構成を特定しなければならない。これは〈解釈interpretation〉と呼ばれ,その集積が理解をもたらす。だがその手順は簡単ではない。…
※「解釈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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