就活ルール

共同通信ニュース用語解説 「就活ルール」の解説

就活ルール

学生就職活動が早まることで学業支障が出ないよう、企業の採用日程に関して定めたルール。2020年卒業の学生までは経団連が企業説明会や採用面接の解禁日を定め、加盟企業に順守を求めてきた。ただ、優秀な人材を早く獲得したい一部企業が自由に採用活動をしていたため形骸化。経団連は21年卒からの廃止を決め、政府が引き継ぐ形で現行の日程を維持した。自主的に守るルールとし、罰則はない。

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知恵蔵 「就活ルール」の解説

就活ルール

大学の卒業予定者など新卒学生の就職活動において、企業説明会や採用選考の解禁日や内定日などを定めたルール。就職活動の極端な早期化を防ぎ、学生の学業に専念する時間を確保することが目的とされている。2018年時点での現行のルールは、13年に日本経済団体連合会(経団連)が定めたもので、正式名称は「採用選考に関する指針(採用選考指針)」。企業側が自主的に守ることが前提で、罰則はない。
新卒学生の一括採用が一般的となっている日本で、採用活動の日程の目安とされてきたが、18年10月9日、経団連が会長・副会長会議で21年春入社の学生の採用活動からルールを撤廃すると決定したと発表。国内外での採用活動を行う企業や、経団連に加盟していないベンチャー企業や外資系企業を中心にルールにとらわれない採用活動を行う企業が増え、ルールの形骸(けいがい)化が指摘されていた。しかし、経団連の決定に対し、学生の学業への影響などを懸念する大学側が反発、経団連の中でも一定のルールを求める声が多いことから、政府主導での新たなルールづくりが進められている。政府は10月29日、21年春入社の学生については、現行の日程を維持することを決めた。
20年春入社までの学生を対象とした現行のルールは、大学3年生の3月1日に企業説明会などの「広報活動」、大学4年生の6月1日に面接などの「選考活動」を解禁すると定めている。更に、内定日を大学4年生の10月1日以降とするよう求めている。
就活ルールは1953年、政府や企業、学校などの間で申し合わせた「就職協定」として始まった。その後、企業が優秀な学生を確保するため、協定で定めた時期よりも前に採用活動を行う「青田買い」が横行するようになり、徐々に協定が形骸化していった。このため、97年に協定は廃止され、日本経営者団体連盟(現在の経団連)は協定に代わるガイドラインとして、内定日を大学4年生の10月1日以降などとする「倫理憲章」を定めた。当初は内定日のみが決められていたが、次第に広報活動や選考活動の日程も規定するようになった。倫理憲章は2013年、採用選考指針に改められ、16年春入社以降の学生から、広報活動、選考活動の解禁日を、それぞれ大学3年生の3月1日、大学4年生の8月1日と定めた。そして15年、現行のルールに改定された。

(南 文枝 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「就活ルール」の解説

就活ルール

日本経済団体連合会(経団連)が定めた、加盟企業の採用活動に関するルール。採用活動の時期が無制限に早まれば学生の本分である学業が疎かになるとの考えから、説明会などの広報活動は3月以降に、面接をはじめとする選考活動は6月以降に足並みを揃えることになっている。企業が自主的に守るルールに過ぎず、破っても罰則がないことから形骸化が指摘されており、新卒一括採用を前提にしていることが通年採用や中途採用の増えた現状にそぐわないという見方もある。2018年9月、経団連は21年春以降に入社する人の採用活動から同ルールを廃止する方針を発表した。

(2018-9-6)

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