尿管腟瘻(読み)にょうかんちつろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「尿管腟瘻」の意味・わかりやすい解説

尿管腟瘻
にょうかんちつろう

尿管と腟との間に交通路ができて尿が腟から漏れる状態になったもので、先天性と後天性に分けられる。先天性尿管腟瘻は尿路の形態異常の一つ(尿管異所開口)で、単に尿管腟瘻といえば後天性のものをいう。これは後天性に尿管の穿孔(せんこう)や損傷によって腟と交通したものであり、大半は婦人科的手術に合併してみられる。

 主症状は腟からの尿失禁と、間欠的な自排尿であり、膀胱(ぼうこう)腟瘻との鑑別が症状だけではむずかしい。したがって両者を鑑別するには、膀胱鏡検査や膀胱造影法が必要である。ごくまれに自然治癒もみられるが、尿路の検査によって確認しないと、腎(じん)機能不全のために尿漏れがなくなっている場合がある。治療としては、尿管カテーテルを上部まで挿入して数週間留置することで治癒することもあるが、多くは尿管と膀胱の吻合(ふんごう)術が行われる。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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