日本大百科全書(ニッポニカ) 「膀胱造影法」の意味・わかりやすい解説
膀胱造影法
ぼうこうぞうえいほう
膀胱内に造影剤を入れてX線撮影を行う方法で、これにより膀胱内の諸病変に関する形態的ならびに機能的諸情報が得られるばかりでなく、膀胱に近接する臓器(前立腺(せん)、子宮、直腸など)の疾患の診断にも役だつ。
単にあおむけに寝たまま(仰臥位(ぎょうがい))でX線撮影を行っても、充満した尿により、淡い膀胱像を得られることもあるが、これは不明瞭(めいりょう)かつ不確定なので、一般には陰性造影剤である気体(空気でよい)、あるいは陽性造影剤(ヨード製剤)を注入しておいてから撮影する。気体では結石や異物が描出され、ヨード製剤では膀胱の形状が描出される。なお、二重造影法といって、少量の造影剤と膀胱いっぱいの空気の両方を入れて撮影すると、膀胱壁の小腫瘤(しゅりゅう)や腫大した前立腺がきれいに描出される。
また、造影剤で膀胱を充満させたのち、排尿させながら撮影すると、尿管開口部に異常があれば、造影剤が尿管を伝わって腎盂(じんう)に逆流する影像を見ることができる。これは膀胱尿管逆流現象とよばれ、腎盂腎炎を繰り返す人に、必要な検査である。
[大越正秋]