吻合(読み)フンゴウ

デジタル大辞泉 「吻合」の意味・読み・例文・類語

ふん‐ごう〔‐ガフ〕【×吻合】

[名](スル)上下のくちびるがぴったり合うの意》
物事がしっくり合うこと。一致すること。「双方の話が吻合する」
血管神経などが相互連絡をもつこと。また、血管や腸管などの端どうしを手術によってつなぐこと。「動脈吻合
[類語](1合致符合一致揃う団結暗合整合大同大同団結結束該当当てはまる等しい同然同断同様一緒適合適応相当即応順応対応照応同質同列同等等質見合う元元対等同級等し並み同席同位同じ同一等価均等一律一様イコール互角五分伯仲五分五分おっつかっつ拮抗きっこうどっこいどっこいとんとん匹敵比肩伍する相半ばする肩を並べる勝るとも劣らない並び立つ負けず劣らずいずれ劣らぬ似たり寄ったり並ぶ団栗どんぐりせい比べ双璧ちょぼちょぼ甲乙付け難い雁行一進一退鍔競つばぜり合い竜虎相追いつ追われつ抜きつ抜かれつ競り合うせめぎ合う攻防一歩も引かぬ同前同上同類共通そのまま

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「吻合」の意味・読み・例文・類語

ふん‐ごう‥ガフ【吻合・合】

  1. 〘 名詞 〙 ( 上下の唇がぴったり合うの意 )
  2. 物事がぴったり合うこと。一致すること。
    1. [初出の実例]「天下太平なりと雖も、戦を忘る時は必ず危しとかや。誠に先言吻合せり」(出典:信長記(1622)六)
    2. [その他の文献]〔福恵全書‐刑名部・問擬〕
  3. 血管や神経が互いに連絡していること。
  4. 病的あるいは外科的に本来分離されている二つの臓器内腔を互いに連絡すること。
    1. [初出の実例]「心臓を切り開き、垂直肺静脈を吻合(フンゴウ)し」(出典吉里吉里人(1981)〈井上ひさし〉一八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吻合」の意味・わかりやすい解説

吻合
ふんごう
anastomosis

血管や神経などが相互に連絡をもつ状態をいう。たとえば、高等動物の血管は相互に網の目状に連絡しており、その一部に血流障害があっても、他から側副血行路を介して血流が保たれるようになっている。また、動脈から静脈へは毛細血管を経て移行するが、鼻粘膜や一部の皮膚では動脈から静脈へ直接移行する誘導循環がみられ、動静脈吻合とよばれ、体温調節などに役だっている。一方、生理的には分離しているべき内腔(ないくう)や臓器が病的に連絡をもつ場合もある。たとえば、動静脈奇形(動静脈瘻(ろう))、ボタロー管開存症、食道気管瘻などがある。

 外科的治療の目的で吻合を行う場合も少なくない。消化管では胃空腸吻合術はごく一般的に行われているほか、近年は血管の吻合技術が著しく進歩し、脳神経外科領域などでは顕微鏡下で1ミリ以下の神経や血管の吻合術も行われるようになっている。

[加川瑞夫・山本昌昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「吻合」の読み・字形・画数・意味

【吻合】ふんごう(がふ)

上下の唇が合う。相合う。適合する。〔福恵全書、刑名部、問擬〕其の犯す、律例の條と恰(あたか)も相ひ吻合するを以て、因りて之れを擬し、以て其の應(まさ)に得べきの罪を定む。

字通「吻」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android