化学辞典 第2版 「尿素の工業的製法」の解説
尿素の工業的製法
ニョウソノコウギョウテキセイホウ
manufacture of urea
以前は石灰窒素の懸濁液と二酸化炭素との反応でシアナミドCaCN2水溶液をつくり,これを水和して尿素を得ていた.現在の直接合成法(1919年,ドイツI.G.社で開発)は,アンモニアと二酸化炭素とを直接高温高圧合成塔中で反応させる方法である.ここから取り出した尿素溶液中の未反応のCO2とNH3とを分離し,尿素溶液を濃縮後,結晶とする.反応機構として,中間体のカルバミン酸アンモニウムH2NCOONH4を経て尿素が生成するという説が,工業的実測ともよく一致し定説となっている.
2NH3 + CO2 H2NCOONH4 + 155 kJ
H2NCOONH4NH2CONH2 + H2O - 17~38 kJ
普通,150~200 ℃,120~270 atm,20~40 min ぐらいで反応させ,CO2の尿素への転化率は35~75% 程度である.転化率には温度,圧力,過剰NH3量,水分,中性ガス,反応時間などが影響するが,とくにNH3を過剰(モル比NH3/CO2 = 2~6)に使うほど転化率は高い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報