日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアナミド」の意味・わかりやすい解説
シアナミド
しあなみど
cyanamide
シアンのアミド化物で、シアンアミドともいう。アンモニアとクロロシアンCNClとの反応、カルシウムシアナミド(石灰窒素の主成分)CaCN2と酢酸との反応、チオ尿素と酸化水銀(Ⅱ)との反応などによって得られる。潮解性の無色針状晶。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルによく溶ける。次のようなカルボジイミドとの互変異性がある。水溶液は弱酸性で安定。
NCNH2HN=C=NH
酸とは塩をつくり、水酸化ナトリウム水溶液ではNaHCN2なる化合物を生じる。強酸および強アルカリ性水溶液で尿素に加水分解する。硫化水素とは弱アルカリ性で反応してチオ尿素に、アンモニウム塩とはグアニジンの塩になる。金属シアナミドMI2CN2の代表的なものにカルシウムシアナミド、ナトリウムシアナミドNa2CN2がある。二量体のジシアンジイミドNC・NHC(NH2)=NHに重合しやすく、150℃に熱すると三量体のメラミンC3H6N6に変化する。刺激性で湿った皮膚に触れると炎症をおこす。
[守永健一・中原勝儼]