…平安時代に〈富豪の輩〉といわれた地方有力者(富豪層)は,数町にも及ぶ宅地に私宅をかまえ,その内外に従類(じゆうるい),伴類(ばんるい)を集め,周辺各地に田家など諸種の小宅を分散配置して,私営田や山野河海の諸産業を営んだが,その中から強固な領主支配を形成したのが,中世在地領主の典型である〈開発領主〉であった。領主的な開発を行うのに必要な基本財産は,ふつう1町余の屋敷畠(やしきはく),在家(ざいけ),苧桑,所従,牛馬などで,これらを基礎として現地の〈居屋敷(いやしき)〉(本宅)や〈一門輩居薗〉を設けて堀垣をかため,国衙に申請して適地の荒野を占定し,私財を投じて百姓を語らい浪人を招き寄せて開発にあたった。こうして形成された在地領主の本領は,在京の私領主の所領とは異なり,その在地性にもとづく強固な支配構造をそなえていたが,その根源は本宅に集中された〈いえ〉の人的集団と家産,本宅敷地としての土地支配形態にあった。…
※「居屋敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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