山口町(読み)やまぐちまち

日本歴史地名大系 「山口町」の解説

山口町
やまぐちまち

[現在地名]山口市中河原なかがわら町・中市なかいち町・米屋こめや町・道場門前どうじようもんぜん一―二丁目・大市おおいち町・石観音いしがんのん町・大字八幡馬場やわたのばば・大字野田のだ・大字上竪小路かみたてこうじ・大字下竪小路しもたてこうじ・大字大殿大路おおどのおおじ・大字円政寺えんせいじ・大字諸願小路しよがんしようじ・大字久保小路くぼしようじ・大字銭湯小路せんとうしようじ・大字新馬場しんばば・大字後河原うしろがわら・大字中河原なかがわらの各全域、および三和さんわ町・中園なかぞの町・中央ちゆうおう一―二丁目・同五丁目・本町ほんまち一―二丁目・旭通あさひどおり一丁目・駅通えきどおり一―二丁目・黄金町こがねまち鰐石わにいし町・堂の前どうのまえ町・円政寺えんせいじ町・道祖どうそ町・東山ひがしやま一―二丁目・古熊ふるくま三丁目・金古曾かなこぞ町・三の宮さんのみや一―二丁目・折本おりもと一丁目の各一部

山口盆地中央やや北寄りに発達した町で、町の東南側を北東から西南へ椹野ふしの(天神川)が流れ、北西は古城こじようヶ岳・こうノ峰・兄弟おとどい山などが連なる。

〔大内氏の城下町建設〕

山口が中世都市として発展したのは、大内氏の城下町建設に始まる。それ以前の山口は、純然たる農村であった。鎌倉時代の山口町域を直接知る史料はないが、北東に続く東大寺領宮野みやの庄が田畠一一八町五段であるのに対して、在家わずか三一宇であったことが参考となる(「周防宮野荘立券文」上司家文書)。山口の地名の初見が、建長六年(一二五四)の円政寺旧蔵金鼓銘の「防州山口月輪山円政寺天神宮」であることはよく知られるが、円政寺は中世を通じて椹野川の北側の地にあった寺院で、のちに萩に移転している。山口の地名由来については諸説があるが、山口盆地の北、椹野川の支流いちさか川に沿って長門国阿武あぶ郡の山地に分け入る入口にあたるからとも、東鳳翩ひがしほうべん山の銀鉱に入る山の口にあたる天花てんげ辺りの地名が、一般的呼称となったともいわれるが想像にすぎない。

貞治二年(一三六三)大内弘世は北朝から周防・長門の守護に任ぜられ、さらに石見にも勢力を伸ばして、石見守護にもなった。大内氏はそれまで周防国衙に往来の便利な仁保にほ川沿いの御堀氷上みほりひかみを本拠としていたが、弘世の時代になると、日本海側の長門北部の確保と石見への進出が課題となり、その方面の交通路にあたり、しかも高嶺こうのみね(鴻ノ峰)や天花・大蔵おおくら山などの自然の要害を近くに有する山口の地が好条件を備えていると判断したのである。山口に移ったことは、弘世が京に上ってその文化と環境に触れたことが直接の動機となったといわれる。その年代は当時の文献には伝えられていないが、大内氏時代の状態を江戸時代に復元した山口古図に、山口は京に似て四神相応の地であるので、延文五年(一三六〇)京に倣って町割をした旨が記されている。山口は東北西の三方が山に囲まれて、南に平野が開けていること、中央を一ノ坂川が貫流するなど、その地勢は小京都を思わせる。


山口町
やまぐちちよう

[現在地名]中区のぼり町・銀山かなやま町・えびす

石見屋いわみや町の南に続く山陽道沿いの縦町で、南は銀山町。東は平行して武家屋敷町の下柳しもやなぎ町があり、町の南寄りを西に折れると東引御堂ひがしひきみどう町である。城下新町組に属した。元和五年広島城下絵図に「山口町」として町間数一町一〇間を記す。寛永二年広島町数家数改め(済美録)には本家三〇軒・借家五〇軒とあり、「知新集」には町間数二丁二間七歩、竈数七八(本竈一四・借竈六四)、人数三〇七(男一六六・女一四一)、うち本道医一人、傘釣灯張五人、塗師・指物師各二人、弓師・葛籠張・大工・柿葺・桶屋・張附師・畳刺・絵馬書(平井屋惣助)各一人を記す。


山口町
やまぐちちよう

[現在地名]岐阜市山口町・益屋町

古屋敷ふるやしき新田村の内。木挽こびき町の南に続く南北の両側町。南端は東西の町並である山口横町に接する。同町を東に向かうと金華きんか山への百曲ひやくまがり口に至り、西に向かうと上大久和かみおおくわ町に至る。町名は百曲口に最も近く、御山(金華山)への登り口にあたることから名付けられたという。享保年間(一七一六―三六)の成立と推定される町絵図(徳川林政史研究所蔵)によれば、大桑おおくわ(大久和町)から東に延びる東西の道筋に山口丁と記され、その道筋の南側に御鮨所と寺二軒が描かれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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