椹野川(読み)ふしのがわ

日本歴史地名大系 「椹野川」の解説

椹野川
ふしのがわ

山口市の北、阿武あぶあさひ村境のおおかみ(五八〇・七メートル)南面より発し、荒谷あらたにを経てすずみ山の東を南流、宮野下みやのしも河原かわら付近で西南に向きを変え、山口市街地に入る。この付近では俗に天神てんじん川とよび、さらに流下してひめ山の北で仁保にほ川を合し、山口盆地の南端では西から流れ出た吉敷よしき川、東方から流れ出る九田くでん川を合し、吉敷郡小郡おごおり町に入り、西北方から流れ出た四十八瀬しじゆうはつせ川を受ける。小郡町の下方で川幅は約二〇〇メートル、再度山口市に入り山口湾に流入する。

現在の河口付近は、東岸が名田島なたじま西岸江崎えざきであるが、中世末期頃までは、小郡東津ひがしづ(現吉敷郡小郡町)辺りが河口で、それ以南は入海として干潟を形成していた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「椹野川」の意味・わかりやすい解説

椹野川
ふしのがわ

山口県中南部を南西流して瀬戸内海に注ぐ川。延長30.3キロメートル。山口市を流域とし、流域面積は314.8平方キロメートル。鳳翩(ほうべん)山東方の金山谷(かなやまだに)に発して山口盆地を南西流し、仁保(にほ)川、一ノ坂川、吉敷(よしき)川などを合流して周防灘(すおうなだ)に入る。流域の30%を低地が占め、古代条里遺構を残す水田地帯となり、中流に山口市の中心市街地、下流東海道・山陽新幹線新山口駅(旧、小郡駅)のある市街地が広がる。流域は国指定天然記念物のゲンジボタルの発生地。河口の干潟は渡り鳥の休息地やカブトガニの生息地であるが、環境悪化が進み、干潟再生事業が進められている。

三浦 肇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「椹野川」の意味・わかりやすい解説

椹野川
ふしのがわ

山口県中央部を南流して,山口市小郡の市街南方で周防灘の山口湾に注ぐ川。全長 24.9km。山口盆地支流の仁保川,一ノ坂川,吉敷川が合流して扇状地沖積低地をつくる。低平な盆地床には氾濫多発地があり,自然堤防が点在する。河口は沈降谷の入江で,中世以降の干拓地沿岸に広がる。山口盆地の流域一帯はゲンジボタル発生地として国の天然記念物に指定されている。

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