…記紀にみえる神話の一つ。天照大神(あまてらすおおかみ)の孫で葦原中国(あしはらのなかつくに)の支配者として降臨した瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)には3子があったが,そのうち長兄火照命(ほでりのみこと)と末弟火遠理命(ほおりのみこと)(穂穂手見命(ほほでみのみこと))は,それぞれ海の漁山の猟を得意としたので,海幸彦・山幸彦ともよばれた。この2人の物語は,兄弟の葛藤の話と,山幸の海神宮訪問そして海神の女との結婚の話とからなる。…
…いずれもJ字型の先端をとがらせて逆刺(かえし)をつけ,これを魚がくわえると口中に引っ掛かって逃れられなくなり,他の端は糸で結ぶことができるようにしてある。《日本書紀》の〈山幸彦・海幸彦〉の話では,失った釣針の代りに太刀をつぶしてたくさんの針にして返そうとしたとあって,すでに鉄器の使用が描かれているが,鉄製の釣針の出現によって釣りそのものが多様化することになる。日本では本来釣針のことを〈鉤(ち)〉といったが,後にこの字をそのまま〈はり〉と読んだ。…
※「山幸彦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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