岩注く(読み)イワソソク

デジタル大辞泉 「岩注く」の意味・読み・例文・類語

いわ‐そそく〔いは‐〕【岩注く】

[枕]《「いわそそぐ」とも》高い所から岩の上に水が垂れ注ぐ意から、「岸」「たる」にかかる。
「―岸の浦廻うらみに寄する波」〈・一三八八〉
「―垂氷たるひの上にさす日影」〈千五百番歌合・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「岩注く」の意味・読み・例文・類語

いわ‐そそ・くいは‥【岩注】

  1. ( 後世は「いわそそぐ」とも )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 水が岩に注ぎかかる。海岸の岩に波が激しくうちあたる。
    1. [初出の実例]「石灑(いはそそき)岸の浦廻(うらみ)に寄する波辺に来寄らばか言(こと)の繁(しげ)けむ」(出典万葉集(8C後)七・一三八八)
  3. [ 2 ] 岩に注ぐ水が垂れるという意で、地名垂水(たるみ)」にかかる。
    1. [初出の実例]「岩そそくたるみの上の早蕨(さわらび)のもえ出づる春になりにけるかな〈志貴皇子〉」(出典:新古今和歌集(1205)春上・三二)

岩注くの補助注記

[ 二 ]の「新古今」例の「いわそそく」は、「万葉‐一四一八」では、ふつう「いわばしる」と訓まれている。

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