千五百番歌合(読み)センゴヒャクバンウタアワセ

デジタル大辞泉 「千五百番歌合」の意味・読み・例文・類語

せんごひゃくばんうたあわせ〔センゴヒヤクバンうたあはせ〕【千五百番歌合】

鎌倉前期の歌合わせ。20巻。建仁2年(1202)ごろ成立後鳥羽院が当時の代表的歌人30人に、各100首ずつを詠進させたもの。判者は後鳥羽院藤原俊成ら10人。各首に判者の評があり、新古今時代の歌風歌論を知る貴重な資料

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精選版 日本国語大辞典 「千五百番歌合」の意味・読み・例文・類語

せんごひゃくばんうたあわせセンゴヒャクバンうたあはせ【千五百番歌合】

  1. 鎌倉初期の歌合。二〇巻。建仁二~三年(一二〇二‐〇三)頃成立。後鳥羽院が当時の代表的歌人三〇人に四季・祝・恋・雑の題で一〇〇首ずつ詠進させたものを、後鳥羽院、藤原俊成藤原定家藤原良経顕昭慈円などを含む一〇人の判者に一五〇番ずつ割り当て、判を提出させたもの。当時の代表的歌人を網羅した最大規模の歌合で、新古今時代の歌風・歌論の実際が知られる。仙洞百番歌合。後鳥羽院百首歌合。

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改訂新版 世界大百科事典 「千五百番歌合」の意味・わかりやすい解説

千五百番歌合 (せんごひゃくばんうたあわせ)

1201年(建仁1)6月,後鳥羽院が30人の歌人に100首ずつ詠進させた〈院第三度百首〉を結番した最大規模の歌合で,一応の判進は翌年の末ころか。作者は左が後鳥羽院,藤原良経,慈円,宮内卿小侍従等,右が釈阿(俊成),藤原定家,同家隆,寂蓮,俊成卿女等,当代の有力歌人を網羅している。判者は院,釈阿,良経,定家,慈円,顕昭等10人で,150番ずつ分判している(源通親は死亡のため無判)。良経は漢詩,院と慈円は判歌で判するなど,判の形式も多様である。各判は判者の好尚や歌論を知る好個の資料であるが,釈阿,定家の判詞はとくに注意される。1201年7月に和歌所が再興され,11月には《新古今集》撰進の院宣が下っていて,時期的にも本歌合は《新古今集》と密接な関係にあるが,本歌合から90首入集し,本歌合作者の中から,和歌所寄人(よりうど),新古今撰者が出ている。
歌合
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千五百番歌合」の意味・わかりやすい解説

千五百番歌合
せんごひゃくばんうたあわせ

歌合中最大のもの。1202年(建仁2)末から翌年初めにかけて完成。新古今時代の代表的歌人30人から、1201年に後鳥羽(ごとば)院の命により百首(春20、夏15、秋20、冬15、祝5、恋15、雑10首)を召し、左右一組とする歌合形式に番(つが)えたもの。判者は、忠良(ただよし)(春1、2)、俊成(しゅんぜい)(春3、4)、通親(みちちか)(夏1、2。途中で没す)、良経(よしつね)(夏3、秋1)、後鳥羽院(秋2、3)、定家(ていか)(秋4、冬1)、季経(すえつね)(冬2、3)、師光(もろみつ)(祝1、恋1)、顕昭(けんしょう)(恋2、3)、慈円(じえん)(雑1、2)の10人。後鳥羽院を中心とした歌壇の中核メンバーで構成されているため、『新古今和歌集』入集歌第一位(90首)を占め、斬新(ざんしん)で象徴的な幻想世界の新古今調を支えるものとして注目される。判詞も多彩多様(後鳥羽院と慈円は判歌、良経は判詩)であり、各判者の個性的な判詞は新古今撰集(せんしゅう)当時の歌評意識を知る貴重な資料である。

[有吉 保]

『『日本古典文学大系74 歌合集』(1965・岩波書店)』『有吉保著『千五百番歌合の校本とその研究』(1968・風間書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千五百番歌合」の意味・わかりやすい解説

千五百番歌合
せんごひゃくばんうたあわせ

鎌倉時代前期の歌合。 20巻。建仁1 (1201) 年後鳥羽上皇が詠進させた百首歌を歌合形式にしたもの。歌合としての成立は同3年春頃か。 1500番,3000首から成り,歌合史上空前絶後の規模の大きさを誇る。作者は,後鳥羽上皇をはじめ,藤原良経,定家,家隆,有家,雅経,源通親,通具,通光や慈円,寂蓮,顕昭,讃岐,小侍従,俊成女,宮内卿ら『新古今集』の代表的な歌人 30名。判者は後鳥羽上皇,藤原俊成,定家,良経,慈円,顕昭ら 10名が2巻ずつ分担した。秀歌が多く,この前後に行われた歌会,歌合中『新古今集』に最も多くとられた。俊成,定家の判詞は歌論研究のうえでも注目される。

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