国指定史跡ガイド 「岩舟古墳」の解説
いわふねこふん【岩舟古墳】
島根県安来市岩舟町にある古墳。飯梨川の左岸、丘陵中腹に築かれた古墳で、現在、封土は失われており、墳丘の形、規模などについては不明であるが、精巧につくられた石室が残っている。石室は本来玄室と前室が存在していたと考えられるが、残存するのは玄室のみである。玄室は凝灰岩の切り石を組み合わせてつくられ、長さ約2m、幅約2.1m、高さ約1.7mあり、天井は家形、側壁は1枚石で、奥壁は2枚石である。前室の側壁をはめ込んだ溝が玄室前壁に残っているが、前室は2枚の底石以外は失われている。家形石棺の一部と認められる石片があり、横穴式石室だが、家形石棺の形式も備えた石棺式石室という特殊な構造を示す石室である。6世紀に築かれたと考えられる。1948年(昭和23)に国の史跡に指定された。JR山陰本線荒島駅からコミュニティバス「飯梨小学校前」下車、徒歩約30分。