精選版 日本国語大辞典 「差昇る」の意味・読み・例文・類語
さし‐のぼ・る【差登・差昇】
- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
- ① 高い所をめざして登る。
- [初出の実例]「嵯峨の院、楼のかみにさしのぼりて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
- ② 日や月が光を発しながら昇る。
- [初出の実例]「さしのぼる朝日に君を思ひ出でんかたぶく月に我を忘るな〈藤原通俊〉」(出典:金葉和歌集(1124‐27)別離・三五九)
- ③ ( 「さし」は棹や櫓(ろ)を使う意 ) 川をさかのぼる。
- [初出の実例]「雨いささか降りてやみぬ。かくてさしのぼるに」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一一日)
- ④ ( 「さし」は潮が満ちる意 ) 潮が満ちて河口から上流にさかのぼる。
- [初出の実例]「橋の下にさしのほる潮は、帰らぬ水をかへして上さまに流れ」(出典:海道記(1223頃)豊河より橋本)
差昇るの補助注記
「万葉‐一六七」に「天照日女之命〈一云、指上日女之命(さしのぼるひるめのみこと)〉」がみえるが、借音表記でないため、読みはサシアガルの可能性もあり、確例とはならない。