差渡(読み)さしわたす

精選版 日本国語大辞典 「差渡」の意味・読み・例文・類語

さし‐わた・す【差渡】

[1] 〘他サ五(四)〙
① (棹(さお)さして)船を対岸に行かせる。
※古事記(712)中「故爾に槁機(さを)を指し渡して、其の御船に引き入れて」
一方から他方へかけわたす。前へさし出して届かせる。架す。
更級日記(1059頃)「わが国に七つ三つつくりすゑたる酒壺に、さしわたしたるひたえのひさごの」
③ 差し遣わす。派遣する。
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「アキナイト シテ saxivatasu(サシワタス)
[2] 〘自サ四〙
① さし向かう。向かいあう。
浮世草子・好色一代男(1682)二「其夜は客なき事をさいはい、〈略〉更(ふけ)行迄さしわたし」
② 直接に自分でする。
※浮世草子・世間胸算用(1692)四「さしわたして弟をつれて、此たび四条の役者に近付ありて、是をたのみにして芸子に出して」
③ 血のつながりがある。
小早川家文書‐(年未詳)(室町)一〇月二日・小早川弘景置文写「瀬戸・南子共は、身かためにはさし渡したるいとこにて候へ共」

さし‐わたし【差渡】

〘名〙
① さしわたすこと。一方から他方へかけ渡すこと。また、そのもの。
※漂荒紀事(1848‐50頃)六「深雪なれば、山澗谷底も平坦道路となりて、鳥道(サシワタシ)の如し」
直径。径。わたり。また、一方の端から他方の端までの長さ。
※室町殿日記(1602頃)九「さしわたし一町半反ばかりの大河五百石舟千石船いてつきて」
硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉三七「球の大きさが直径(サシワタシ)二寸以上もあったやうに思はれる」
③ 直接であること。また、血縁であること。→差渡しの従兄弟
※浮世草子・御前義経記(1700)四「九郎様こそ親ごの日、こなさんの為にはさしわたしの他人

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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