御前義経記(読み)ゴゼンギケイキ

デジタル大辞泉 「御前義経記」の意味・読み・例文・類語

ごぜんぎけいき【御前義経記】

浮世草子西沢一風作。元禄13年(1700)刊。8巻8冊。義経伝説を下敷きに、主人公諸国遊里を遍歴しながら色道研鑽けんさんを積んでいくさまを描く。

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精選版 日本国語大辞典 「御前義経記」の意味・読み・例文・類語

ごぜんぎけいき【御前義経記】

  1. 江戸前期の浮世草子。八巻八冊。西沢一風作。元祿一三年(一七〇〇)刊。「義経記」、謡曲などの義経伝説を近世の好色生活にやつして翻案する。主人公元九郎今義が母と妹とを捜し求めて、さまざまな色道修行を積みながら、諸国の遊里を遍歴する話が骨格となり、当時の演劇芸能を導入して肉付けが行なわれる。浮世草子が西鶴風のコントから八文字屋風長編へと展開する過渡期の作品として注目される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御前義経記」の意味・わかりやすい解説

御前義経記
ごぜんぎけいき

浮世草子。8巻8冊。西沢一風(いっぷう)作。1700年(元禄13)刊。外題(げだい)は「風流」の角書(つのがき)がある。主人公元九郎今義(げんくろういまよし)の行動を、『義経記(ぎけいき)』、謡曲、舞曲浄瑠璃(じょうるり)、伝説などにみえる源九郎義経(よしつね)に付会し、母常磐(ときわ)と妹を求めて諸国遊里遍歴という構成のもとに、新奇な好色風俗を紹介する。好色遍歴という点に『好色一代男』の影響がみられるが、古典、演劇色の導入によって伝奇化、長編化をねらい、西鶴(さいかく)模倣の好色物一辺倒でマンネリ化した元禄(げんろく)(1688~1704)末の浮世草子界に新しい方向を示し、趣向重視の機運をつくった作である。

[長谷川強]

『藤井乙男著『評釈江戸文学叢書2 浮世草子名作集』(1937・講談社)』

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