干物女(読み)ひものおんな

知恵蔵 「干物女」の解説

干物女

十分若いにもかかわらず、恋愛シーンから遠ざかり、気楽であることを最上とするプライベートライフを送っている勤労女性をからかう表現。ひうらさとる『ホタルノヒカリ』(講談社)の主人公雨宮蛍の暮らしぶりからきている。27歳の蛍は、会社ではそれなりにきちんとした格好をしているが、家に帰るとジャージーに着替えてビールを飲み、休日ともなればマンガを読みつつ菓子を食べ、ひたすらゴロゴロ過ごしている。2007年7月、綾瀬はるか主演で同名のテレビドラマとなり、一気に認知度が上がった。ドラマでは24歳という設定。ビジネス社会への適応を強いられ、ともすれば女性としての潤いを捨てざるをえない女性たちの共感支持を得ている。と同時に、「モテ女」を目指して絶えず緊張を強いられている同世代の主流派へのアンチテーゼともなっている。恋愛への幻想を失っているという点では、20代女性の身も蓋もない日常を描く4コママンガのニューウエーブ、瀧波ユカリ『臨死!!江古田ちゃん』(講談社)も同じ流れに属する。

(鈴木繁 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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