山形県北東端、最上郡の町。秋田、宮城県に接する。1954年(昭和29)東小国(ひがしおぐに)、西小国の2村が合併して成立。奥羽山脈神室(かむろ)山地の南に開けた向町盆地(むかいまちぼんち)の中心に位置する。最上小国川が盆地中央を西流し、水田地帯が広がるが、夏に東風の「山背」の影響を受けやすく、長い間冷害を受けてきた寒冷多雨地域。JR陸羽東線と国道47号が町域を東西に横断し宮城県大崎市に通じる。新庄(しんじょう)藩戸沢領時代から広大な牧野を利用した馬産地であったが、いまは和牛の生産・肥育が盛ん。瀬見、赤倉、大堀の3温泉があり、温水利用のウナギやアユの養殖や地熱利用の地域冷暖房を行うなどローカルエネルギーの活用も盛ん。堺田(さかいだ)の旧有路家住宅(きゅうありじけじゅうたく)(国指定重要文化財)は江戸中期の庄屋(しょうや)住宅で、『おくのほそ道』では「封人(ほうじん)の家」とあり、「蚤虱(のみしらみ)馬の尿(しと)する枕(まくら)もと」を詠んだ家という。堺田から大崎市の鳴子(なるこ)に至る出羽仙台街道中山越は国の史跡に指定される。宮城県境一帯は栗駒(くりこま)国定公園域、南部は御所山県立自然公園の一部。面積330.37平方キロメートル、人口8080(2020)。
[中川 重]
『『最上町史』上下(1984、1985・最上町)』
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