翻訳|jersey
もとメリヤス編みでつくったセーター、あるいは下着の名称であったが、近年は細番手の毛糸を使い、横編機または丸編機によって編成された厚地のメリヤス生地(きじ)の総称となっている。また、ジャージーの風合いに似せて、撚(よ)り方向の違う紡毛単糸を1本置きに使い縮絨(しゅくじゅう)して、伸縮性のある地合いにした経緯縮緬(たてよこちりめん)をさすこともあるが、これは日本だけの名称である。ジャージー・クレープjersey crépeなどがこれで、いずれも手ざわりの柔らかい織物である。このジャージーという呼び名は、イギリス海峡にある最大の島(ジャージー島)の名で、ここで産出される羊毛でつくった粗末なセーターに由来するといわれる。
編物は、経編機ではトリコット、ラッセル、ミラニーズなどの機械が用いられているが、丸編機のほうが生産能率が高いため、現在では、大半が丸編機を使って円筒形に編成し、縦の方向に1か所を切り開いて平面状の生地としている。原糸はもと毛の甘撚(あまより)糸を使っていたが、絹・木綿や、最近では合繊との混紡糸も広く使われ、柔らかく、伸縮性のある生地がつくられている。用途はセーター、肌着、手袋などであったが、近年になって需要が多く広範囲にわたって使用をみ、上着、ワンピース、オーバーコートに至るまで用いられる。しかし使用に際しては伸縮性が大きいので、ミシンかけ、アイロンかけに注意を要する。
[角山幸洋]
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。家畜ウシの乳用品種で、イギリス海峡にあるチャネル諸島のジャージー島で、ブルトンとノルマンの交雑種を200年にわたって純粋繁殖して成立し、1866年から登録開始。毛色は淡褐色、暗褐色と個体変異があり、頭、頸(くび)、肩、臀(しり)などは濃くぼかしになっている。体の下部、足の内側は淡色で、雄のほうが毛色は濃い。鼻鏡は黒く、その周囲に白い毛の輪があり、頭面はしゃくれ、角(つの)は短い。体格は典型的な乳用型で小さく、体重は雌380キログラム、雄700キログラム、体高は雌1.22メートル、雄1.35メートル。性質は温順であるが神経質。早熟で、年間総乳量は3600キログラムほどであるが、乳質が優れ、乳脂率は5%と高く、バターの原料乳に適する。日本には1874年(明治7)に初めて輸入されたが、1954年(昭和29)から翌年にかけて、原料乳生産のため1万2000頭ほどが集中的に輸入された。
[西田恂子]
裁断・縫製してつくる外衣用に用いるメリヤス生地の総称。イギリス海峡のジャージー島で17世紀以来つくられてきた漁夫のシャツに由来する。それ以前からこの島のニットの衣服はイギリスやフランスで評判になっていたという。19世紀にはフットボールなどのスポーツに,また登山やゴルフにとり入れられていった。ジャージーは大別して,シングル・ジャージーとダブル・ジャージーに分類される。シングル・ジャージーとはおもに平編を基本とし,この変化組織を含めた編地であり,ダブル・ジャージーとはおもにゴム編,インターロック(両面,スムーズともいう)を基本とし,この変化組織を含めた編地をいう。加えてパール編を基本とし,この変化組織を含めた編地も一般的にはダブル・ジャージーといわれている。これらは紡毛糸,梳毛糸(そもうし),綿糸,絹,化学繊維でつくられ,さらにそれらに起毛したり捺染(なつせん),刺繡などをほどこしたりしたものもある。伸縮性,多孔性,また成型可能の面で織物と異なる特有の機能をそなえている。ワンピース,スーツ,ブレザー,スカート,ズボン,茶羽織,スポーツシャツ,ポロシャツ,帽子,手袋,水着にいたるまで広範囲に用いられている。
執筆者:城川 美枝子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈乳牛の女王〉と呼ばれ全世界に広く飼われている。(2)ジャージー種Jersey(イラスト)イギリス海峡にあるジャージー島原産。褐色の小型のウシで体型は典型的な乳用型を呈す。…
※「ジャージー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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