日本大百科全書(ニッポニカ) 「年齢調整罹患率」の意味・わかりやすい解説
年齢調整罹患率
ねんれいちょうせいりかんりつ
集団全体の罹患率(ある病気にかかる率)を、基準となる集団の年齢構成(基準人口)に合致させて算出したもの。通常、人口10万人当りの割合で表される。
地域や国際比較、経年的な罹患率の推移を把握する際、年齢構成の異なる集団では比較ができないため、年齢構成の変化の影響を取り除いて算出する必要があることから用いられる。
年齢調整罹患率は、基準人口に何を用いるかによって値が変動する。国内の比較では通例「昭和60年モデル人口」(1985年(昭和60)の日本人人口を一定の方法で補正してつくられた仮想人口モデル)が用いられ、世界各国との比較では「世界人口」が用いられる。
[渡邊清高 2018年1月19日]
がん罹患の年次推移
日本におけるがんの年齢調整罹患率の年次推移をみると、全部位のがんでは男女とも1985年(昭和60)以降上昇傾向を示している。とくに近年、男性では前立腺(せん)がん、女性では乳がんの罹患率が上昇傾向にある。
[渡邊清高 2018年1月19日]