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乳がん にゅうがん breast cancer

5件 の用語解説(乳がんの意味・用語解説を検索)

知恵蔵2015の解説

乳がん

日本人女性の乳がん死亡率は、胃、肺、大腸がんに次いで第4位だが、患者数(罹患率)は胃がんとほぼ同様。欧米に比べると少ないが、ハワイに移民した日本人に増えていることから、欧米風の生活習慣が関係しているものと考えられる。国内では主として閉経後の女性に増えている。乳がんは自己診断で発見されることが多く、視触診に加えて、乳腺の乳房X線撮影(マンモグラフィー)で診断される。乳がんのがん抑制遺伝子として、BRCA‐1とBRCA‐2が分離されている。前者は卵巣がん、後者は男性の乳がんにも関与している。遺伝性乳がんの発症前の遺伝子診断にこれらの遺伝子が使われているが、陽性でも必ずがんになるわけではない。乳がんは治しやすいがんの1つで、5年生存率は83%に達する。早期には外科的摘出が基本だが、手術によって乳房を失うという心理的負担は女性にとって大きい。このため、できるだけ拡大手術を避け、必要最低限に手術するようになってきた。がん細胞女性ホルモン(エストロゲン)に対する受容体を持ち、反応する可能性がある場合にはホルモン療法を行う。HER‐2というがん遺伝子を発現している場合には、抗体療法が有効。

(黒木登志夫 岐阜大学学長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

乳がん

乳腺にできる悪性腫瘍(しゅよう)。日本人女性の16人に1人がかかるとされ、30代から増加し始め、50歳前後に発症のピークを迎える。食生活の欧米化などで20代の女性の発症率も増えていて、男性もかかることがある。気付かず放置すると、肺や肝臓などの臓器に転移する。

(2011-10-04 朝日新聞 朝刊 名特集F)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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栄養・生化学辞典の解説

乳がん

 乳腺に発生した悪性腫瘍.

出典|朝倉書店
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家庭医学館の解説

にゅうがん【乳がん Breast Cancer】

◎ほとんどが乳管がん
[どんな病気か]
◎乳房のかたいしこりが特徴
[症状]
◎良性か悪性かの区別が必要
[検査と診断]
◎治療の基本は手術
[治療]

[どんな病気か]
 乳がんは、乳房(にゅうぼう)にできる悪性腫瘍(あくせいしゅよう)です。乳房の中には乳腺(にゅうせん)といわれる組織があります。乳腺は、乳汁(にゅうじゅう)をつくる腺胞(せんほう)という小さな腺組織の集まりで、ブドウの房のようになっていて、それぞれが乳管(乳汁を集め乳頭(にゅうとう)へ送る管)で連絡されています。乳がんの約90%は、乳管から発生する乳管(にゅうかん)がんで、ほかに腺胞から発生する小葉(しょうよう)がんや、乳頭に発生するパジェット病(びょう)(コラム乳房パジェット病」)などいろいろあります。

[症状]
 乳がんは、乳房にできたしこりを触れて発見されることがもっとも多く、ほかに乳頭からの血性分泌(けっせいぶんぴつ)や、乳頭やその周囲のただれ、乳房・乳頭の変形などがきっかけで発見されることもあります。
●しこりの特徴
 乳がんは、乳房の中にかたいしこりとして触れますが、その性状はまちまちで、表面が凸凹(でこぼこ)で周囲との境界がはっきりせず、動きにくいものから、クリッとしてよく動くものまであります。とくに、表面がツルツルで、丸くよく動くものは、良性腫瘍乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)(「乳腺線維腺腫」)など)との鑑別が必要です。
 乳がんの場合は一般に、ややかための乳腺の中に、境界がはっきりしないしこりを触れることが多いようです。
 しこりを押したときの痛みはほとんどなく、あってもあまり強くはありません。乳房の大きさにもよりますが、脂肪の豊かな人の場合は、冬がけの布団の上からさわっているようなもので、やや強めにさわらないとしこりの性状がわからないこともありますので、注意が必要です。
●しこり以外の特徴
 乳頭の血性分泌 がんからの出血が乳管を通って乳頭に出てくるもので、乳頭直下の早期がんの場合が比較的多く、しこりを触れないことがあります。
 乳頭の変形 乳頭直下やその近くにがんができると、がんのまわりの組織がひきつけられ、乳頭がへこんだり(陥凹乳頭(かんおうにゅうとう))、変形したりします。
 皮膚の陥凹(へこみ)・えくぼ現象 乳がんが、皮下組織クーパー靱帯(じんたい)(皮下組織と乳腺をつないで乳腺を支えている)に浸潤(しんじゅん)(根を張るように入り込む)すると、その真上の皮膚がひきつれ、へこみます。これは、鏡の前でゆっくりと腕を上げ下げしてみるとわかります。
 また、親指と人さし指でしこりをつまむと、しこりの真上の皮膚がへこみ、えくぼのようになることがあります。これは、乳がんにみられる特徴的な現象で、えくぼ現象といわれています。
 オレンジ皮様皮膚(かわようひふ) 乳がんが進行し広範囲に浸潤してくると、乳房の皮膚が赤く腫(は)れぼったくなり、ちょうどオレンジの皮のように、毛穴のへこみが目立つようになります。もっとがんが進行すると、小さなぶつぶつが盛り上がり、さらに進行すると、潰瘍(かいよう)をつくったり、不快なにおいや出血がみられるようになります。このような皮膚の変化は、炎症性乳がん(「炎症性乳がん」)にもみられます。
●乳房以外の特徴
 腋窩(えきか)(わきの下)のリンパ節腫脹(せつしゅちょう)(腫れ) 乳がんが進行すると、周囲の血管やリンパ管に波及し、転移をおこします。
 乳房のリンパ管は、腋窩を通り鎖骨(さこつ)の下の静脈(じょうみゃく)に合流しています。がん細胞がそのリンパ液の流れにのり、途中のリンパ節にひっかかると、リンパ節転移をおこすわけですが、さらに静脈にまで流されると、肺や肝臓などの離れた臓器にまで転移します。
 転移したリンパ節内でがん細胞が増えると、そのリンパ節は腫れて触れるようになるのです。

[検査と診断]
 乳房にしこりが発見されたら、良性腫瘍か悪性腫瘍かをみきわめることが必要です。
●問診
 乳房の診察の前に行なうもので、いつ、どのようにして気づいたのか、また、月経・出産・授乳などのからだの生理についてや、既往歴・家族歴などについてたずねるものです。
 乳がんは、女性ホルモンの分泌と深い関係があります。初潮(しょちょう)が10歳以下の人や、妊娠・出産の経験がない人、授乳の経験がない人、閉経(へいけい)年齢の遅い人などは、乳がんができやすいといわれています。そこでまず、ホルモンに関係する内容を詳しくたずねます。
 月経の状況(初潮・周期・閉経の年齢など)、結婚の有無、妊娠・分娩(ぶんべん)の回数、授乳の状況(乳汁の出・左右のちがい・人工乳授乳の割合など)などです。
 ついで、乳腺炎(にゅうせんえん)や乳房腫瘤(にゅうぼうしゅりゅう)などの乳腺の病気にかかったことがあるか、女性ホルモンや副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンなどの治療を受けたことがあるかなどの既往歴をたずねます。
 また、乳がんは遺伝的要素が強いといわれてきましたが、最近、がん抑制遺伝子と呼ばれる、乳がんの発生を抑える特殊な遺伝子が見つかり、乳がんにかかる人の多くは、その遺伝子が欠損していることもわかってきました。
 このように、乳がん発生の遺伝的要因も、しだいに解明されつつあります。
 したがって、血縁者のなかに乳がんの人がいないか、他のがんについてはどうかなどの家族歴についてもたずねます。
●視診
 上半身の衣類は全部脱ぎ、座った状態で、腕を下ろしたり、頭の後ろに上げて、乳房のひきつれ・へこみ・盛り上がりなどの変化を観察します。
●触診
 乳腺専門の医師であれば、触診で65%以上の確率で悪性・良性の鑑別ができます。
 まず、診察台にあおむけに寝て、肩の力を抜きます。肩に力が入ってしまうと、乳房が自然な形で胸の上に広がらず、よい触診ができません。最初に手のひら全体で乳房を触れ、ついで指の腹で乳房を輪を描くように触れます。さらに、わきの下および乳房外側上方から乳頭にむかって触れます。異常があれば、指先で詳しく調べます。つぎに、座った状態で、両側のわきの下や、頸部(けいぶ)のリンパ節が腫れていないかを調べます。
●補助診断法
 問診・視診・触診だけでは、しこりを触れない早期の乳がんは発見できませんし、良性か悪性かの鑑別も必要となります。そこで、以下のような補助診断法が行なわれ、それらの組み合わせで最終的な診断が下されます。
①単純乳房撮影法(マンモグラフィー)
 胸部や腹部のX線より被曝線量(ひばくせんりょう)の少ないX線で、乳房の中を撮影するものです。乳房を上下と左右から板ではさみ、乳房用X線装置で撮影します。乳がんの場合、砂をまいたような非常に小さな石灰化像(せっかいかぞう)や、不整形な腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)の陰影がみられます。この診断法の正診率(せいしんりつ)(正確な診断が得られる確率)は、約63%です。
②乳管造影法
 乳頭から造影剤を注入して、乳管の状態を調べるX線検査です。乳頭から出血がみられるような、乳管から発生した早期の腫瘍の診断に役立ち、乳管の変形やとぎれの状態により、病巣のようすが診断できます。
③乳管内視鏡検査
 非常に細いファイバースコープを乳頭から挿入し、乳管の状態を調べます。乳管内腫瘤の状態や出血部位などが診断できます。
④超音波検査(エコー)
 乳がんの検査でもっとも苦痛の少ないもので、乳房の表面から超音波をあて、そのはね返ってくる反射波を測定することにより、腫瘍の性状を調べます。また、その腫瘍の周囲や内部の血液の流れによって、良性・悪性の鑑別もできます。
 この検査は、副作用の心配がないのでくり返し行なうことができます。正診率は、最近では約80%に上昇しています。
⑤細胞診
 細胞の性質を調べる顕微鏡検査で、X線検査やエコーとちがい、直接がん細胞の確認をするものです。
 細胞診には、乳頭異常分泌物細胞診と穿刺吸引(せんしきゅういん)細胞診があります。
 乳頭異常分泌物細胞診(にゅうとういじょうぶんぴつぶつさいぼうしん) 乳頭から出る異常分泌物を顕微鏡で調べ、細胞の異型度を診断します。乳頭分泌だけでしこりを触れない早期がんや、乳房パジェット病などの診断に有効です。
 穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん) 静脈注射用の細い針で乳房の中のしこりを直接刺し、微量の細胞を吸いとって、顕微鏡でその性質を調べる検査です。1.0cm以下の小さなしこりでも的確に診断ができ、乳がんを診断するうえでもっとも有効な検査です。正診率は93%以上といわれています。
⑥その他の診断法
 最近では、磁石を使った磁気共鳴断層撮影(MRI)や、放射性同位元素によるアイソトープ検査などが試行されていますが、まだ一般的ではありません。

[治療]
 乳がんに対する基本的な治療法は手術ですが、その補助療法として、抗がん剤による化学療法や免疫療法、ホルモン剤による内分泌療法、局所治療の放射線療法などがあります。
●手術
 乳房全部と胸の筋肉(大胸筋(だいきょうきん)・小胸筋(しょうきょうきん))および、わきの下のリンパ節を全部とってしまう胸筋合併乳房切除術(きょうきんがっぺいにゅうぼうせつじょじゅつ)という手術が、かつてはもっとも多く行なわれてきました。しかし、術後の胸の変形や、腕のむくみ、しびれ、運動機能の低下などが問題となり、日本では、1990年前後を境に、胸の筋肉を切除しないか、一部だけ切除する胸筋温存乳房切除術(きょうきんおんぞんにゅうぼうせつじょじゅつ)がもっとも多く行なわれるようになりました。現在では、胸筋合併乳房切除術は、よほど進行した乳がんでないかぎり行なわれません。
 早期の乳がんであれば、乳房の一部や4分の1を切りとる扇状乳腺切除(せんじょうにゅうせんせつじょ)などの乳房温存手術が行なわれますが、その場合、術後に残った乳腺に対し、放射線治療などの補助療法が追加されます。これにより、乳房切除術と比べても遜色(そんしょく)のない治療成績が得られるようになりました。
 以上のように、最近では乳がんの手術の縮小化が進んではいますが、まだまだ乳房切除術のほうが多いのが現状です。
 また一方では、乳がんの手術と同時に、切除手術により欠損した部分に、自分の背中や腹部の脂肪と筋肉を移植し、乳房を復元する即時乳房再建術(そくじにゅうぼうさいけんじゅつ)も積極的に行なわれるようになってきました(形成外科ここまでできるの「がん切除後の再建」の乳がん切除後の再建)。これは、かつてのシリコンなどの人工異物とちがい、新たな乳がん発生の懸念はありません。
 このような即時乳房再建術を行なうことにより、術後の精神面・肉体面での落ちこみを最小限にくいとめ、生活の質の向上が得られるようになりましたので、担当の医師によく相談してみるとよいでしょう。
●手術後の補助療法
 乳房温存手術の場合、残った乳腺の中に、手術前の検査ではわからなかった目に見えないわずかながん細胞が残されていることが考えられます。そのがん細胞を撲滅(ぼくめつ)するために、術後の放射線療法が多く行なわれています。
 そのほか、閉経の前と後で使用薬剤が異なりますが、ホルモン分泌を抑える内分泌療法があります。
 さらに、進行した乳がんの場合は、化学療法(抗がん剤)を中心に、免疫療法を組み合わせた治療が行なわれますが、最近では、抗がん剤の副作用を最小限に抑える薬剤も開発されていますので、大量の抗がん剤の使用が可能となり、再発の防止に役立っています。
●乳がん治療後の妊娠
 乳がんは女性ホルモンと関係が深く、とくにエストロゲンの影響を受けるといわれています。妊娠すると、このエストロゲンが急激に増加し、がん再発の危険度が高くなります。ですから、再発の危険がなくなったと判断されないかぎり、妊娠は避けたほうがよいでしょう。
 しかし、まったく妊娠不可能というわけではありませんので、担当の医師に相談してみましょう。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
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食の医学館の解説

にゅうがん【乳がん】

《どんな病気か?》
 乳(にゅう)がんは、乳房の外側から触ってもわかるため、早期に発見しやすく、治りやすいがんの1つです。日本は欧米にくらべて発症率がかなり低いとはいえ、30歳代と若年層から発症し、女性では胃がんに次ぐ第2位にあげられます。
 乳がんは、出産経験がない人、早くに初経を迎えた人、閉経が遅かった人、高齢で初産を経験した人に多くみられます。このようなことから、乳がんの発生には、女性ホルモンが大きく関係していると思われます。
 また、統計的に肥満女性に多くみられるのも特徴です。これも、脂肪組織内でのホルモンの変化が原因と考えられています。そのため、肥満を解消する以外、予防することがむずかしいので、30歳をすぎたら定期的に検診を受けるようにしましょう。
《関連する食品》
○栄養成分としての働きから
 がん予防にビタミンは欠かせません。さまざまな野菜、くだものからとることができます。
〈DHAとファイトケミカル、食物繊維が有効〉
 また、細胞のがん化を防ぎ、とくに女性特有のがんに効果があるといわれているのがDHAです。魚を食べるときは、サバやサンマイワシなど、青背の魚を選ぶようにしましょう。
 ホルモンと関係のあるがんには、フラボノイドも予防する働きがあります。ダイズ製品、とうふや納豆などの常食を心がけましょう。
 エストロゲンというホルモン値を下げることも乳がん予防につながります。食物繊維は豊富に摂取することで排便をうながし、エストロゲンを体外に排出するため、積極的に摂取したい食品です。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
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