海の底近くの流れをいう。昔は海底の海水はほぼ静止していると考えられていたが,1940年代以降の海中カメラの発達により,海底のリップルマークripple mark(規則正しい起伏のこと。砂紋,波あと,砂漣ともいう)が数多く観測され,深海にも流れが存在するのではないかと予想されるようになった。1950年代の半ばビュストG.Wüstが大西洋の深海には毎秒10~15cmの流れが存在するはずであるという理論計算を発表したが,それが確かめられるまでは十数年を要した。1960年以降現在に至るまでの直接測流の結果,深海に流れが存在するのは珍しくないことが証明されている。その流速はほぼビュストの計算と同程度であるが,なかには毎秒42cm(バミューダの西方,深度4000m)という強い底層流の報告もある。
→海洋大循環
執筆者:宮田 元靖
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…堆積物重力流によって運搬・堆積したとみられる堆積物は地質時代にも非常に多く,フリッシュと呼ばれる地層はタービダイトによって特徴づけられている。
[底層流]
波浪作用の限界である水深200mよりも深い海洋底でも,等深線に沿って流れる底層流または等深線流contour currentによる運搬作用が知られている。この流れの平均流速は毎秒数cmから数十cmに及び,細粒物質を十分浸食,運搬することができる。…
※「底層流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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