普及版 字通 「廛」の読み・字形・画数・意味


15画

(異体字)
18画

[字音] テン
[字訓] やしき・みせ

[説文解字]

[字形] 会意
广(がん)+(たく)の省形+土。(ふくろ)と土との形は量の初文に近く、糧の意とみてよい。〔説文九下に「二畝、一家の居なり」(段注本)とし、井田八家の一廛の意とする。すなわち字形を「广・里・・土に從ふ」とし、井田九百畝、公田を除いて八百二十畝、八家一井を除いて残り二十畝をまた八で除して二畝半とし、字形のうちにその計算法が示されているとするが、字は广と量とに従い、食糧を一時貯蔵するところをいう。一家の耕田と、その収納の小屋とを合わせて一廛といった。〔孟子、文公上〕に「願はくは一廛を受けて氓(たみ)と爲らん」とみえる。のち市廛の意となり、市場をいう。〔孟子、公孫丑上〕に「市は廛して征せず、法して廛せず」とは、店舗税の他には課税しないことをいう。店はもと反の台をいう字であったが、のち廛の意に用いる。

[訓義]
1. やしき、すまい、小屋。
2. 百畝の田、一廛。
3. みせ、糧食をおく所。
4. 店舗税。

[古辞書の訓]
名義抄〕廛 イチクラ 〔字鏡集〕廛 イチクラ・ツチノミチ・イチノウチ・ノキヰル・イチクライヘ

[声系]
〔説文〕に廛声として躔・纏の二字を収める。廛は(ふくろ)状に纏(まと)めたものを収納するところ。纏めることを纏、そのように足を包みこむことを躔(てん)という。

[語系]
廛・纏・躔dianは同声。專(専)tjiuanは声義近く、ものをに入れて摶(う)って固め整えることを專といい、うち團(まろ)めることをいう。括(くく)って纏(まと)めるのに対して、摶ち固めることを專という。廛と專・摶・團(団)は同系の語である。

[熟語]
廛郭・廛廛間廛肆廛税廛宅廛邸廛布廛舗廛里
[下接語]
隘廛・一廛・園廛・街廛・郊廛・耕廛・市廛・肆廛・征廛・俗廛・都廛・邑廛・里廛・陋廛

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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