日本大百科全書(ニッポニカ) 「延岡衝上断層」の意味・わかりやすい解説
延岡衝上断層
のべおかしょうじょうだんそう
九州の四万十帯(しまんとたい)を、北西側の白亜紀付加コンプレックスと、南東側の古第三紀付加コンプレックス(一部、新第三紀に及ぶ)とに分ける大規模な衝上断層。北西側の古い白亜系が、南東側の若い地層の上に衝上している。延岡構造線、延岡衝上とよばれることも多い。
延岡衝上断層の上盤の白亜紀付加コンプレックスの一部は、緑色片岩、泥質片岩とよべる程度に変成されている。延岡衝上断層は少なくとも50キロメートルの変位量があると考えられている。また北西に15度程度と緩く傾斜しているため、地形との関係で、上盤の地層が山の上に取り残されているクリッペや、上盤の地層に取り囲まれて下盤の地層が見えるフェンスター(地窓)が多く確認されている。衝上断層面が後で褶曲(しゅうきょく)の影響を受けて、南東傾斜や東傾斜となっている部分がある。
[村田明広]