建物米(読み)たてものまい

山川 日本史小辞典 改訂新版 「建物米」の解説

建物米
たてものまい

建(立)米とも。江戸時代,大坂堂島米市場の帳合米(ちょうあいまい)取引で売買の標準米となった銘柄諸藩の蔵米から米方年行司や米仲買らの入札によって選定された。年3期のうち,1期春物と3期冬物はおもに筑前肥後防長・広島の蔵米のいわゆる四蔵から,2期夏物は原則として加賀米が選ばれた。建物米となった蔵米は他国米よりも価格が上昇する傾向にあり,藩にとってもさまざまな名声利益を得ることになった。そのため各藩は自藩の蔵米が選定されるよう努めた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の建物米の言及

【堂島米市場】より

…こうして堂島米市場においては正米取引すなわち諸蔵屋敷発行の米切手による売買と,完全な先物取引である帳合米取引の両者が行われた。帳合米取引は三季商内(あきない)と称し1年を3季に分けて取引されたが,その標準米は建物米とよばれ,筑前,肥後,中国,広島の4蔵米および加賀米があてられた。31年には米仲買株500枚が,翌年には米方両替(遣来(やりくり)両替ともいう)株50枚が下付され,彼らは堂島における営業独占権を保証された。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」