引張(読み)ひっぱり

精選版 日本国語大辞典 「引張」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐ぱり【引張】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ひっぱること。
  3. ( 互いに引き合うことの意から ) 合同ですること。共同。一緒。
    1. [初出の実例]「引ぱりにして、三人でやるからは、いってもゑい。五匁づつ二人ながら、おれが所へよこしやれ」(出典:咄本・譚嚢(1777)三人一座)
  4. 同一の程度、有様であること。好一対
    1. [初出の実例]「操狂言の庄屋と、歌舞伎の大屋と、引張(ヒッパリ)な役さ」(出典:滑稽本・素人狂言紋切形(1814)下)
  5. 取り合い。競争。
    1. [初出の実例]「壱反をひっはりに着る云名附け」(出典:雑俳・露丸評万句合‐宝暦一三(1763))
  6. ひっぱり(引張)の見得(みえ)」の略。
    1. [初出の実例]「岩永、梶原抜かけるを、重忠、仁田留る。引(ヒッ)ぱりよろしく。三重かけりにて」(出典:歌舞伎・景清(1842))
  7. 揚代が南鐐一片(二朱銀)の安女郎。また、道ばたで通行人の袖をひっぱって売淫する女。引張女郎。夜鷹。つじぎみ。やぼち。街娼。また、女をののしってもいった。
    1. [初出の実例]「ヤイそこなひっぱりめ」(出典:浄瑠璃・百合稚高麗軍記(1742)四)
  8. ひっぱりみせ(引張店)
    1. [初出の実例]「今この桑名屋といふひっぱりへ来てゐる」(出典:洒落本・蕩子筌枉解(1770)幽州)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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