国指定史跡ガイド 「彦根藩主井伊家墓所」の解説
ひこねはんしゅいいけぼしょ【彦根藩主井伊家墓所】
滋賀県彦根市古沢町、東近江市永源寺高野町と東京都世田谷区豪徳寺にある墓所。江戸時代、譜代筆頭の大名だった彦根藩主井伊家歴代の墓所。近世の大名の政治権力、墓制や信仰を知るうえで重要とされ、2008年(平成20)に国の史跡に指定された。墓所は滋賀県彦根市の曹洞宗清凉寺、同東近江市の臨済宗永源寺、東京都世田谷区の曹洞宗豪徳寺の3ヵ所に所在。国許(くにもと)の墓所・清凉寺は1602年(慶長7)、井伊直政の死去により墓所として創建され、初代直政、3代直澄、5代直通、7代直惟、8代直定、11代直中、12代直亮(なおあき)の歴代7藩主らが葬られた。豪徳寺は寛永年間(1624~44年)に当地が彦根藩領に組み込まれたことから、江戸表における菩提寺とされ、2代直孝、6代直恒、9代直禔、10代直幸(なおひで)、13代直弼(なおすけ)、14代直憲の6藩主らが葬られた。4代藩主直興は永源寺の南嶺慧詢(なんれいえじゅん)に帰依していたため、側室とともに永源寺に埋葬された。井伊家は、初代直政が徳川家康に仕えて戦功を重ね、歴代藩主のうち5人が大老職になり、なかでも幕末の大老井伊直弼は有名である。清凉寺へは、JR東海道本線彦根駅から徒歩約20分。永源寺へは、近江鉄道八日市駅から近江バス「永源寺前」下車、徒歩約5分。豪徳寺へは、小田急電鉄小田原線豪徳寺駅から徒歩約10分。