側室(読み)そくしつ

精選版 日本国語大辞典 「側室」の意味・読み・例文・類語

そく‐しつ【側室】

〘名〙
① 次男以下の男子。嫡子以外の男子。〔春秋左伝‐桓公二年〕
貴人のめかけ。妾(しょう)。そばめ。
随筆・秉燭譚(1729)三「側室とは門側の居をいふ。〈略〉妾のことをいふ。いづれも門側の居より転じ用るなるべし」 〔漢書‐南王伝〕
③ おもだった部屋に添えられた部屋。次の間。副室。
風立ちぬ(1936‐38)〈堀辰雄〉風立ちぬ「附添人のために宛てられた狭苦しい側室にはひらうともしないで」

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デジタル大辞泉 「側室」の意味・読み・例文・類語

そく‐しつ【側室】

貴人のめかけ。そばめ。⇔正室嫡室
[類語]めかけ情婦手掛け二号側女そばめ愛妾囲い者思い者内妻色女お手つき手つき一夜妻愛人恋人情人いろ彼氏彼女いい人思い人思い者情夫間夫間男色男男妾若い燕ボーイフレンドガールフレンドラバーフィアンセダーリンハニーパートナーアモーレ

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普及版 字通 「側室」の読み・字形・画数・意味

【側室】そくしつ

旁側の室。妾。〔輟耕録、九、陰府弁詞〕李子昭~の側室(てう)氏、娠(はら)めるり。妻之れを怒り、撻(すいたつ)楚して晝夜息(や)めず。~身ぶ。數日ならずして鬼怪百出、妻奇疾を得たり。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「側室」の意味・わかりやすい解説

側室
そくしつ

将軍大名のように地位・身分の高い人の妾(めかけ)をいう。儒教の道徳思想から祖先祭祀(さいし)を絶やさぬため、多く公認された。将軍、大名ともその側室は臣下の待遇を受け、正室との間も主従関係にあった。将軍の側室の場合、男児を生めば御部屋様、女児なら御腹様とよばれ、名前は「何の方(かた)」と「方」づきになり、家来からは主人なみに扱われた。江戸時代、大名は参勤交代で江戸と国元を往復したが、正室を証人として江戸屋敷に残し、国元には側室、つまり「御国御前(おくにごぜん)」を置いた。そのため家督相続をめぐって御家(おいえ)騒動が絶えず、大名家では原則的に側室に権力をもたせない仕組みであった。側室は30歳になると「御褥御断(おしとねおことわ)り」といって、寝所をともにするのを辞退した。

稲垣史生

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世界大百科事典(旧版)内の側室の言及

【妾】より

…【植松 明石】
[中国]
 めかけは古くは女奴を意味し,男奴たる臣とあわせて〈臣妾〉の語があった。春秋末期から〈奴婢(ぬひ)〉の語が一般化するとともに,自由身分の側室をめかけと称するようになった。旧中国における宗族秩序の上からは一夫一妻の原則にたつから,めかけは公的地位をもたず弱い立場にあったが,単なる秘密の囲い女ではなく,家族の成員たる身分を礼と律の上に制度づけられていた。…

※「側室」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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