心の鬼(読み)ココロノオニ

デジタル大辞泉 「心の鬼」の意味・読み・例文・類語

こころ‐の‐おに【心の鬼】

ふと心に思い当たる良心呵責かしゃく
「かたはらいたく、―出で来て、言ひにくくなり侍りなむ」〈・一三五〉
心の奥に潜んでいるよこしまな考え。邪心煩悩ぼんのう
「我はかく思ふとも、さすがなる―そひ」〈浜松・五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心の鬼」の意味・読み・例文・類語

こころ【心】 の 鬼(おに)

  1. 心を責めさいなまれること。ふと心をよぎる不安や恐れ。
    1. (イ) 心の中で疑い恐れること。疑心暗鬼
      1. [初出の実例]「心のおには、もしここ近き所にさはりありて、かへされてにやあらんと思ふに」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. (ロ) 心にかねて恥じ恐れていたことに直面してはっと思うこと。良心の呵責
      1. [初出の実例]「かたはらいたく、心のおに出で来て、いひにくくなり侍りなん」(出典:枕草子(10C終)一三五)
  2. 心の奥に隠れている、よくない心。よこしまな心。邪心。
    1. [初出の実例]「われはかく思ふとも、さすがなる心のおにそひ、まことのけぢかき契りのかたに心よりはてて」(出典:浜松中納言物語(11C中)五)
  3. 恋慕愛着の妄念煩悩にとらわれる心。
    1. [初出の実例]「こころの鬼よ我をせむるか 枕より跡よりおこる恋の道」(出典:俳諧・毛吹草(1638)七)

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