疑心暗鬼(読み)ぎしんあんき

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「ぎしん(疑心)暗鬼を生ず」の) 心があるために、何でもないつまらないことまで、恐ろしく感じたり疑ったりすること。
※落紅(1899)〈内田魯庵〉「疑心暗鬼(ギシンアンキ)の譬喩(たとへ)で怪しい素振が全然(まるきり)無いでもなかった」

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四字熟語を知る辞典の解説

心に疑いを持っていると、何でもないつまらないことまで不安になったり、恐ろしくなったりすること。

[使用例] 疑心暗鬼ということがございますね。貴君あなたのは、それですよ。わたしを疑ってかかるから、妾の笑顔までが、しゃおもてか何かのように見えるのでございますよ[菊池寛*真珠夫人|1920]

[使用例] 大沢も含め、いま多くの社員が、いつリストラされるかという疑心暗鬼にとらわれ、東京デジタル通信の屋台骨はきしみ、崩壊寸前だ[池井戸潤*銀行仕置人|2005]

[使用例] もしかしたら、雪乃も近々この家を出るつもりで、新しい「友人」をあてがおうとしているんじゃないか。そんな疑心暗鬼が生じ、心細さと不安がぶり返した[三浦しをん*あの家に暮らす四人の女|2015]

[解説] 元の言い方は「疑心暗鬼を生ず」で、「列子」に出てきます。疑う心を持っていると、暗闇の中にも鬼の姿が生じてくるものだ、という意味です。
 後に、「疑心暗鬼」全体で、その心理状態を指すようになりました。そこで「疑心暗鬼を抱く」とも言います。この言い方を嫌う人もいますが、「疑心暗鬼を~」の後は「生ず」には限りません。例文の[銀行仕置人]の「疑心暗鬼にとらわれる」のほか、「疑心暗鬼を起こす」「疑心暗鬼に陥る」などとも言います。
 意味も変わってきています。本来は右に述べた意味で、「取り越し苦労」に近いものです。一方、現代では、「真実が何かわからず、不安になる」という意味で多く使われます。
 [真珠夫人]の例は従来の意味、あとの二つは現代の意味で使われています。取り越し苦労ではなく、根拠があって不安になっているのです。

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