念無(読み)ねんなし

精選版 日本国語大辞典 「念無」の意味・読み・例文・類語

ねん‐な・し【念無】

〘形ク〙
① それに考えを及ぼすことがない。考慮することがない。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「射をとさむ事は無下に安けれ共、是ほどの剛の者を念(ネン)なふうしなはん事、情なかるべし」
② 無念である。残念である。口惜しい。後悔する。
※後鳥羽院御口伝(1212‐27頃)「結題をばよくよく思ひ入れて題の中を詠ずればこそ興もある事にてあれ、近代の様は念なき事也」
③ 容易である。たやすい。簡単である。
太平記(14C後)七「夜昼三日か間に、念(ネム)なく掘崩してけり」
④ 思いがけない。意外である。多く、期待していた以上の好結果の場合に用いる。
※義経記(室町中か)三「ねんなく御辺はせられて候物かな」
※浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)六「念なう兜を奪ひ取り、某に渡されしは、名を捨てて忠義を立つる古今忠臣
⑤ 心残りがない。
俳諧新花摘(1784)「亡君のうらみを報ひ、ねんなふこそ泉岳寺へ引とりたり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「念無」の解説

念無 ねんむ

?-1663 江戸時代前期の僧。
浄土宗。近江(おうみ)(滋賀県)の人。江戸霊巌(れいがん)寺の霊巌に師事し,江戸高輪(たかなわ)に済海寺,伊皿子(いさらご)に道往寺をひらいた。往生する日時をきめて,寛文3年8月15日みずから命をたったという。号は仏蓮社法誉。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android