日本列島のほぼ中央にある滋賀県には、県域の約六分の一を占める琵琶湖が南北に広がっている。旧国名の近江は、奈良の都に近い淡水湖の意の「近淡海」から転訛したもので、湖そのものは古くから淡海・
と詠じている。眼前に大きく湖が開け、白い木綿花のように波が一面に立っているのが見渡されるということであろう。琵琶湖は大海とみられてきたのである。
この湖の幸を求めて古代人が湖辺に住みついたのは縄文早期にさかのぼる。のち天智天皇は大和の盆地から湖辺の大津に都を移し、新政を試みるが、平安遷都がなってからは琵琶湖の二つの機能がより明確になってくる。一つは湖上交通である。北陸・東国の諸物資が日本海を下り越前敦賀を経由して琵琶湖に入り、大津から京都へ運ばれることになった。大津は平安京の外港となり、湖辺の諸浦とともに、諸国との商品流通の活発化とあいまって湖上交通の拠点として盛況を極めた。もう一つは魚類を中心とする生業の舞台である。湖の民は四ッ手網・・追双手網などの漁法を駆使し、氷魚・阿米魚・鱒・鮒などの生鮮魚を都へ貢進していた。これら贄人は御厨を拠点に供御人と称するようになり、やがて生鮮魚などを扱う商人として活躍する、まさしく湖の恵みをもって生きた人々であった。一方では京に隣接するために直接的にも間接的にも政治・軍事の舞台になるが、近世初頭には湖を最大限に利用しようとする天下人らが湖岸に坂本城・安土城・大津城などを構築するに至る。
湖の存在を近江により密着したものにしているのは、国境に連なる山々である。南の信楽山地から北へ鈴鹿山脈が太く延び、鈴鹿峠・
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
近畿地方の北東部に位置する内陸県で,中央に琵琶湖を擁する。旧近江国を県域とする。1868年(明治元)大津裁判所が大津県と改称され,旧幕領・旗本領を管轄,71年6月大溝藩を合併した。70年には羽前国山形藩が転じて朝日山藩となる。71年廃藩置県後の11月大津・膳所(ぜぜ)・水口(みなくち)・西大路の4県が大津県,山上・彦根・宮川・朝日山の4県が長浜県に統合された。72年大津県は滋賀県と改称,長浜県は犬上県と改称したのち滋賀県に統合された。76年敦賀(つるが)県の廃止により若狭3郡・越前1郡を編入したが,81年福井県に移管した。県庁所在地は大津市。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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