改訂新版 世界大百科事典 「恵那山トンネル」の意味・わかりやすい解説
恵那山トンネル (えなさんトンネル)
中央自動車道の長野県下伊那郡阿智村と岐阜県中津川市を結び,中央アルプス南端部の恵那山を貫く道路トンネル。日本道路公団により1967年3月着工,75年8月に完成した第1期恵那山トンネルは全長8489m,幅員7mの日本初の本格的な長大道路トンネルである。青函トンネル(53.9km),大清水トンネル(22.2km),シンプロン・トンネル(19.8km)など鉄道トンネルには長大なものが多いが,道路トンネルのほうは,関門国道トンネル(3.46km)がモン・ブラン・トンネル(11.6km)に抜かれるまで世界第1位であったように長大化が遅れていた。長大道路トンネルの建設には換気と安全対策が必須であるが,ここでは本格的なコンピューター利用による総合管理をはじめ,9ヵ所の待避所,約500mごとに設けられた避難坑,横流式6分割換気方式(最大1499m3/s)など十全の対策がとられた。なお,77年6月着工,85年に完成した第2期分のトンネルは全長8649mで,上り線専用である。
執筆者:河村 忠男
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