成熟血球の産生制御機構

内科学 第10版 「成熟血球の産生制御機構」の解説

成熟血球の産生制御機構(総論1:造血のしくみ)

 生体内では日々老朽化した血液細胞が破壊され,この消費を補うために健常成人では赤血球が約2×1011個,白血球が約1×1011個,血小板が約2×1011個と膨大な数の血球が日々産生され,血球数は表14-2-1に示すような一定値に維持されている.
 HSCから成熟細胞へと分化する過程には階層性(hierarchy)が存在する(図14-2-1).HSCの段階から分化が選択されると自己複製能をもたない多能性前駆細胞(multipotential progenitor:MPP)が産生され,MPPはやがて各血球系列の中での増殖・成熟が運命づけられた(commitmentされた)前駆細胞となり,最終的な血液細胞へと成熟していく.MPPから産生される骨髄系共通前駆細胞(common myeloid progenitor:CMP)は骨髄球系前駆細胞[顆粒球/単球前駆細胞(granulocyte/monocyte progenitor:GMP)]または赤芽球/巨核球系前駆細胞(megakaryocyte/erythroid progenitor:MEP)となり,それぞれ骨髄系,赤巨核系細胞を産生する.一方,CLPはT,Bリンパ球およびNK細胞を産生する.HSCから成熟血球に至る過程では,各種の造血因子が適切に協調して作用することが必要である.[松村 到]
■文献
Abboud CN, Lichtman MA: Structure of the marrow and the hematopoietic microenvironment. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp35-72, McGraw-Hill, NY, 2006.
Dacie JV, Lewis SM: Practical Hematology, 7th ed, Churchill Livingstone, Edinburgh, 1991.
Kipps TJ: The lymphoid tissues. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp73-81, McGraw-Hill, NY, 2006.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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