或る(読み)アル

デジタル大辞泉 「或る」の意味・読み・例文・類語

ある【×或る】

[連体]《動詞「あり」の連体形から》はっきり名を挙げずに物事をさす語。また、漠然と物事をさしていう語。「或る所」「或る日」「或る人」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「或る」の意味・読み・例文・類語

ある【或・有】

  1. 〘 連体詞 〙 ( 動詞「ある(有)」の連体形から転じたもの ) 物事を、はっきりそれと示さないで漠然とさす語。特定のものでなく、どれかの。
    1. [初出の実例]「この道を 行く人ごとに 行き寄りて い立ち嘆かひ 或(ある)人は 啼(ね)にも泣きつつ 語りつぎ 偲ひつぎくる」(出典万葉集(8C後)九・一八〇一)
    2. 「有時(アルとき)には濡美の語をし、有時(アルとき)には苦切の語をし」(出典:大智度論天安二年点(858)二)
    3. 「東京府下の一(アル)病院に於て」(出典:外科室(1895)〈泉鏡花〉上)

或るの語誌

「一書」「某所」などの「一」「某」に当たる意味で、「或」「有」「存」「一」などと当てられるが、近世では「有」が多く見られる。

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