戦ふ兵隊(読み)タタカウヘイタイ

デジタル大辞泉 「戦ふ兵隊」の意味・読み・例文・類語

たたかうへいたい〔たたかふヘイタイ〕【戦ふ兵隊】

亀井文夫監督による映画題名。昭和14年(1939)年制作軍部による検閲で厭戦的な描写問題となり、公開禁止となった。ネガは処分され、長らく幻の映画とされてきたが、戦後昭和50年(1975)にポジフィルムが発見され公開に至る。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の戦ふ兵隊の言及

【亀井文夫】より

…記録映画作家。軍国主義一色の日本の戦時下で,陸軍省の依頼と後援による《上海》(1938),《戦ふ兵隊》(1939)で,うわべは戦意昂揚をうたいながら,〈戦争と生命の悲痛な関係の実証だけ〉を描いて反戦,反骨の姿勢を貫いた。《戦ふ兵隊》は公開禁止になり,亀井は逮捕,投獄された。…

【ドキュメンタリー映画】より

…また,ロマン・カルメーンの《戦うレニングラード》(1942),レオニード・ワルラーモフの《スターリングラード》(1943)というニュース映画を編集したもの2本と,ドブジェンコの《ウクライナの勝利》(1943‐45)のような長編ドキュメンタリーもつくられた。 日本では,日中戦争が泥沼化した1938年に,前線部隊と行動をともにしながら撮影取材を行った亀井文夫の《戦ふ兵隊》が,陸軍省情報部の後援で製作されたにもかかわらず,その〈生命の詩をうたう〉反戦的要素が濃厚すぎて軍当局から公開禁止にされ,以後,40年代に入ると,侵略戦争の激化とともに,〈国民総力戦への戦意昂揚,一億玉砕へと民衆を追い込む宣伝扇動の手段として記録映画は利用された。あらゆる映画は戦争遂行のためにのみつくられた〉(野田真吉《日本ドキュメンタリー映画全史》)。…

※「戦ふ兵隊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android