扇面散らし
せんめんちらし
扇をさまざまな角度に開いて散らした模様。骨をとって地紙だけを散らしたものもある。扇が末広(すえひろ)の形をとるところから、縁起のよい模様として鎌倉時代から今日に至るまで、広い分野で愛用されている。この模様は、扇面によって空間を巧みに分割し、その内部にさまざまな絵画風の模様を描き、煩雑な印象を与えることなく、幾種類もの細やかな絵模様を一画面の内に盛り込むことができるため、屏風(びょうぶ)、染織、漆工と金工、陶磁器など、美術・工芸各種の分野で伝統的な意匠として繰り返し用いられた。
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村元雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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