手放(読み)てばなし

精選版 日本国語大辞典 「手放」の意味・読み・例文・類語

て‐ばなし【手放】

〘名〙
① 手を放すこと。何にもつかまったりすがったりしないこと。
人情本・恩愛二葉草(1834)三「お盲(めくら)さんに杖がないさうな。手放(テバナ)しでは、行かれまい」
② 手をつけないでうちすてておくこと。批判制限などを加えないで、そのままにしておくこと。また、手だすけをしたり世話をやいたりしないでほっておくこと。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七「只置けば必ず落ちる。然し手放しで落ちては、あまり早過ぎる」
遠慮や気がねをしないこと。露骨なこと。
※雑俳・柳多留‐一〇(1775)「手はなしでつけさしを呑なれたもの」

て‐はなち【手放】

〘形動〙 手入れができないさま。手がまわらないさま。手を抜くさま。
更級日記(1059頃)「これは男などもそはねば、いとてはなちに、あらあらしげにて、苫といふ物を一重うちふきたれば」

た‐ばなし【手放】

〘名〙 飼いならした鷹を手から初めて放すこと。〔運歩色葉(1548)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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