打向(読み)うちむかう

精選版 日本国語大辞典 「打向」の意味・読み・例文・類語

うち‐むか・う ‥むかふ【打向】

〘自ハ四〙
① (「うち」は接頭語) 向かい合う。ある人やある方向に向く。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「さはやかにうちむかひきこえんことは、なほいとまばゆくて」
平家(13C前)一〇「あはれ、へだてなくうちむかひておはしたらば、命ばかりは助けたてまつてまし」
② (「うち」は接頭語) ある場所に向かって進む。出向く。
※平家(13C前)一二「次の日北条かしこに打むかひ」
③ たち向かって攻撃する。手むかいする。
※平家(13C前)七「源氏の方より今井四郎兼平三百余騎でうちむかふ」

うち‐む・く【打向】

〘自カ四〙 (「うち」は接頭語)
① 特にある方向に顔を向ける。
※栄花(1028‐92頃)かがやく藤壺「うちとけぬ御有様なれば、『是うちむきて見給へ』と申させ給へば」
② ある方向に心を向ける。一つの方向にだけ心を集中する。偏る。
申楽談儀(1430)増阿「彼の増阿は、打むきたる田楽にてはなし。何をもする也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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