精選版 日本国語大辞典 「把利」の意味・読み・例文・類語
わり【把利・和利】
- 〘 名詞 〙 出挙米(すいこまい)の利息分。稲の収量の基本単位で、ある束に対して、その一〇分の一である「把」を利息の単位としたもの。稲だけでなく、他の農作物や金銭の貸借の場合にも用いられるようになった。
- [初出の実例]「謹解 申請借出挙米事、合漆斗者。右、以二来秋一之加二五把利一、可二辨進一之状、如レ件」(出典:東大寺文書‐長寛二年(1164)僧壱楽出挙米借用状)
- [その他の文献]〔日葡辞書(1603‐04)〕
- 「三割之利足にて可二召上一事」(出典:伊達家文書‐寛永一五年(1638)四月二一日・伊達忠宗書出)
把利の補助注記
出挙の貸付は、元来は稲であるが、後に籾や麦・豆などにも及び、中世末には「わり」は一般に貸借の利率を示すようになり、「和利」の字が用いられる一方、分割の意の「わり」と混同して、近世には「割」の字が主に用いられるようになった。