持て行く（読み）モテユク

デジタル大辞泉

もて‐ゆ・く【持て行く】

［動カ四］
１ 持って行く。持参する。
「薄色の衣の表を解きて…愛宕おたぎに―・きて」〈古本説話集・上〉
２ （他の動詞の連用形に付いて）しだいに…していく。
「やうやう赤み―・くも、なかなか色のあはひをかしく」〈源・宿木〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

もて‐い・く【持行】

1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 持って行く。持参する。もてゆく。
   1. [初出の実例]「宿直所なりける屏風、畳などもていきて」(出典：大和物語（947‐957頃）一七一)
2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 他の動詞の連用形に付いて、しだいに…していく、だんだん…になるの意を表わす。もてゆく。
   1. [初出の実例]「いとゆかしううれしうてあけてみれば、よろづの事どもかきもていきて」(出典：大和物語（947‐957頃）四)
   2. 「昼になりて、ぬるくゆるびもていけば」(出典：枕草子（１０Ｃ終）一)

もて‐ゆ・く【持行】

1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 持って行く。持参する。
   1. [初出の実例]「例のごとくに飯をもてゆく」(出典：観智院本三宝絵（984）中)
2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 他の動詞の連用形に付いて、しだいに…してゆく、だんだん…になるの意を表わす。自然のままに経過するさまにいう。
   1. [初出の実例]「夜ひと夜酒飲みし遊びて、夜あけもてゆくほどに、この殿のおもしろきをほむるうたよむ」(出典：伊勢物語（１０Ｃ前）八一)

出典　精選版 日本国語大辞典