(1)濃い色に対して淡い色のこと。(2)平安時代以降公家(くげ)の染織では、紫色の薄い色に限って、「薄色」とよんだ。織色(織物の経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の色の組合せ)で表す襲(かさね)色目では、経が紫、緯が白。衣服の表地と裏地の襲ね色目では、表が薄色、裏が薄色または白の組合せであった。『枕草子(まくらのそうし)』に「女の表着(うわぎ)は、薄色、葡萄(えび)染、萌黄(もえぎ)、桜、紅梅」、『源氏物語』(若菜下)には「童(わら)べはかたちすぐれたる四人赤色に桜の汗衫(かざみ)、薄色の織物の衵(あこめ)、浮文のうへの袴(はかま)」とある。ただし、紅(くれない)色の薄い色も「薄色」とする説もある。
[高田倭男]
…しかし,前代盛んであった茜染は廃れ,その代り紅染が盛行し,その濃色は禁色とされた。また紫の染色は,紫根の染法や発色にむずかしさがあったせいか,《延喜式》にはみられぬ藍と紅との交染による二藍(ふたあい)という色相を生じ,紫系統の色は二藍,蒲萄色,桔梗(ききよう),濃(こき)色,薄(うすき)色などと呼ばれるようになった。濃色ははじめ濃紅を指したが,12世紀ころから濃紫を意味するようになり,薄色は薄紫を示すに至った。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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