薄色(読み)うすいろ

色名がわかる辞典の解説

うすいろ【薄色】

色名の一つ。浅紫うすむらさきともいう。薄く、ややくすんだ色のこと。平安時代には紫系統の色が好まれ、最高位は深紫こきむらさきであった。薄色はそれに次ぐ序列の色。8世紀に施行された養老令の規定では、朝廷への出仕に着用する朝服ちょうふくの二位、三位の色とされる。一位の色が深紫。基本的に染色の色をさすが、縦糸を紫、横糸を白で織った織り色をいう場合もある。また、かさね色目いろめの名でもあり、表が薄い紫、裏は表より少し濃いめの薄紫、または白のこと。

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デジタル大辞泉の解説

うす‐いろ【薄色】

染め色の名。薄紫色。
織り色の名。縦糸を紫、横糸を白で織ったもの。緯白(ぬきじろ)。
襲(かさね)の色目の名。表裏とも薄紫色、または表は薄紫色、裏は白。

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大辞林 第三版の解説

うすいろ【薄色】

色の薄いこと。薄い色。
薄紫色。織り色では経たては紫、緯よこは白。
かさねの色目の名。表は薄紫色。裏は薄紫色のやや濃いものか白。四季通用。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薄色
うすいろ

(1)濃い色に対して淡い色のこと。(2)平安時代以降公家(くげ)の染織では、紫色の薄い色に限って、「薄色」とよんだ。織色(織物の経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の色の組合せ)で表す襲(かさね)色目では、経が紫、緯が白。衣服の表地と裏地の襲ね色目では、表が薄色、裏が薄色または白の組合せであった。『枕草子(まくらのそうし)』に「女の表着(うわぎ)は、薄色、葡萄(えび)染、萌黄(もえぎ)、桜、紅梅」、『源氏物語』(若菜下)には「童(わら)べはかたちすぐれたる四人赤色に桜の汗衫(かざみ)、薄色の織物の衵(あこめ)、浮文のうへの袴(はかま)」とある。ただし、紅(くれない)色の薄い色も「薄色」とする説もある。[高田倭男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

うす‐いろ【薄色】

〘名〙
① 染色の名称。薄紫色、または、二藍(ふたあい)の色の薄いもの。
※蜻蛉(974頃)上「うすいろなるうすものの裳(も)をひきかくれば」
② 織り色の名称。経(たていと)を紫、緯(よこいと)を白で織ったもの。緯白(ぬきじろ)
※源氏(1001‐14頃)若菜下「童べは、〈略〉赤色に桜の汗衫(かざみ)、うすいろの織物の袙(あこめ)
③ 襲(かさね)の色目の名称。表は赤みを帯びた薄縹(うすはなだ)色、裏は薄紫色または白。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘六年正月三日「萌黄(もえぎ)蘇芳(すはう)山吹の濃き薄き、紅梅うす色など」
④ 薄い色。あまり強くなく、また、濃くもない色(日葡辞書(1603‐04))。
※春夢草(1515‐16)発句「藤波にうす色いづれ夏木立」
⑤ 江戸時代、吉原などの高級遊女の愛用した刻みタバコ。
※洒落本・取組手鑑(1793)「たばこ入からうすいろすいつけて出す」
⑥ 花の色が淡紅色の椿。また、その花のような色。
※宗湛日記‐天正一五年(1587)三月六日「花瓶とうす色をうちわに入て持出て」

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世界大百科事典内の薄色の言及

【染色】より

…しかし,前代盛んであった茜染は廃れ,その代り紅染が盛行し,その濃色は禁色とされた。また紫の染色は,紫根の染法や発色にむずかしさがあったせいか,《延喜式》にはみられぬ藍と紅との交染による二藍(ふたあい)という色相を生じ,紫系統の色は二藍,蒲萄色,桔梗(ききよう),濃(こき)色,薄(うすき)色などと呼ばれるようになった。濃色ははじめ濃紅を指したが,12世紀ころから濃紫を意味するようになり,薄色は薄紫を示すに至った。…

※「薄色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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