国指定史跡ガイド 「指宿橋牟礼川遺跡」の解説
いぶすきはしむれがわいせき【指宿橋牟礼川遺跡】
鹿児島県指宿(いぶすき)市十二町にある集落跡。市の西半分を占める丘陵性山地を背景に、東方に鹿児島を遠望する標高14~18mの緩傾斜地に立地する複合遺跡。わが国で初めて火山灰をはさんで上から弥生土器、下から縄文土器が出土することが判明し、その新旧関係が層位学的に明らかになったことから、1924年(大正13)に国の史跡に指定された。1988年の発掘で『日本三代実録』に記載された874年(貞観16)の開聞岳(かいもんだけ)の噴火で埋もれた部分が発見され、1996年(平成8)に追加指定を受け、指宿遺跡から名称変更された。遺物包含地では、遺物を包含しない黒褐色の火山噴出層を境として、その上の黒褐色火山灰層からは弥生土器と須恵器(すえき)が発見され、下の層からは縄文時代後期の指宿式土器が発見された。これにより、縄文土器と弥生土器は同じ時代に違う民族が作ったものではなく、縄文文化と弥生文化の新旧が地層の上から実証された。現在、橋牟礼川の両岸で遺物包含状況が見学できるよう史跡公園として整備され、竪穴(たてあな)式住居も復元されている。隣接して指宿市考古博物館がある。JR指宿枕崎線指宿駅から徒歩約10分。