指宿氏(読み)いぶすきうじ

改訂新版 世界大百科事典 「指宿氏」の意味・わかりやすい解説

指宿氏 (いぶすきうじ)

平安末~室町期の薩摩地方の武家。薩摩平氏の一流。平安末期,薩摩国薩摩郡,頴娃(えの)/(えい)郡等を領有した頴娃三郎忠永の第2子忠光が指(揖)宿郡を相続,指宿氏の祖となる。代々指宿郡司職,枚聞(ひらきき)新宮宮司職を受けつぐ。忠光のあと,忠元,忠秀と相伝。忠秀は1234年(文暦1)ころ地頭島津忠綱代官と争って殺害されたが,鎌倉幕府はその遺領を弟の忠成と養子重秀に半分ずつ領知させた。しかしその後は忠成の子忠連(宗忠),孫忠篤(成栄)と一円相伝。忠篤は1333年(元弘3)鎌倉幕府滅亡の際,子の忠泰とともに守護島津貞久に従い,鎮西探題北条英時を攻めて功をあげた。南北朝期の37年(延元2・建武4)征西将軍懐良親王の前駆として三条泰季が下向するやこれに応じ,以後宮方の武将として武家方の島津氏一族や頴娃貞澄らと戦い,忠泰は討死している。子孫もまた宮方として活躍したが,室町初期には島津氏に服属,本領を離れ,以後一族は島津家家臣として各郷に居住することになる。日向高岡郷士指宿家は鎌倉・南北朝期の《指宿文書》を相伝。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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