本領(読み)ホンリョウ

デジタル大辞泉の解説

ほん‐りょう〔‐リヤウ〕【本領】

その人の備えているすぐれた才能や特質。「本領を発揮する」
中世、開発以来代々領有している私領

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世界大百科事典 第2版の解説

ほんりょう【本領】

中世在地領主の所領のうち開発相伝の根本私領をいう。鎌倉幕府法の解説書《沙汰未練書》は本領を定義して,〈本領とは開発領主として代々武家御下文(くだしぶみ)を賜る所領田畠(しよりようでんぱく)等の事なり。また私領とも云う〉と述べている。幕府法における本領とは,御家人が先祖以来伝領してきた固有の所領をいい,将軍家への奉公によって恩給された〈御恩地〉とは区別された。この本領は平安時代このかた,在地領主がみずから〈私功〉を加えて開発した所領田畠を起源とし,譲状(ゆずりじよう),手継文書(てつぎもんじよ)によって代々相伝され,勧農,収納など所務沙汰(しよむさた)を行い,他の妨げなく知行を全うしてきた〈一所懸命〉の地であって,同じく《沙汰未練書》が,〈御家人とは往昔以来,開発領主として武家御下文を賜る人の事なり〉といっているように,武士は鎌倉殿の本領安堵をうけて御家人となった。

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大辞林 第三版の解説

ほんりょう【本領】

他人にまねのできないような、その人独特の性質や才能。もちまえの性質や才能。本来の特質。 「この作家の-は詩情豊かな描写にある」 「 -を発揮する」
もともと所有した領地。 「円心一人僅に-一所の安堵を全して/太平記 13

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

本領
ほんりょう

中世の在地領主の所領のなかで開発相伝(かいほつそうでん)の私領をいう。根本私領(こんぽんしりょう)ともよばれた。平安後期の在地領主の典型である開発領主は、本宅を中核に私財を投じて私領の開発を進めた。開発とは領主が周辺の百姓に種子や農料を与えて請作(うけさく)(請負耕作)を進めることであり、開発私領は世襲され、在地領主の「一所懸命(いっしょけんめい)の地」として経営された。鎌倉時代末の「沙汰未練書(さたみれんしょ)」には、「本領とは開発領主として代々武家御下文(おんくだしぶみ)を賜る所領田畠等の事なり、また私領とも云う」と定義されている。在地領主の所領のうち、鎌倉殿(源頼朝)の安堵状(あんどじょう)を得つつ相伝された固有の所領が本領であり、本領の安堵を受けた武士が御家人(ごけにん)であった。[鈴木哲雄]
『安田元久著『地頭及び地頭領主制の研究』(1961・山川出版社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

ほん‐りょう ‥リャウ【本領】

〘名〙
① もとからの領地。特に中世、開発以来代々相伝している私領。本知
※平治(1220頃か)中「信頼の死骸に向ひ尾籠のことしける奴ならば、本領(ホンリャウ)とらせて何かせん」
② 特に中世、幕府や有力大名によって根本私領として公式に領有権を認められた土地。鎌倉時代には将軍から新給された御恩地と区別された。
※吾妻鏡‐養和元年(1181)四月二〇日「東国御家人安堵本領之時」
③ (━する) 領地として賜わること。
※浄瑠璃・出世景清(1685)五「日向の国をほんりゃうし悦び悦び退出す」
④ その国の主な国土。中心となる国土。
※西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉初「英国の本領に攻入りたれども」
⑤ 本来の特質。得意とするところ。特性。
童子問(1707)中「是謂儒者本領、是謂学問実際」 〔元曲‐賺蒯通・第一折〕

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世界大百科事典内の本領の言及

【本宅】より

…領主的な開発を行うのに必要な基本財産は,ふつう1町余の屋敷畠(やしきはく),在家(ざいけ),苧桑,所従,牛馬などで,これらを基礎として現地の〈居屋敷(いやしき)〉(本宅)や〈一門輩居薗〉を設けて堀垣をかため,国衙に申請して適地の荒野を占定し,私財を投じて百姓を語らい浪人を招き寄せて開発にあたった。こうして形成された在地領主の本領は,在京の私領主の所領とは異なり,その在地性にもとづく強固な支配構造をそなえていたが,その根源は本宅に集中された〈いえ〉の人的集団と家産,本宅敷地としての土地支配形態にあった。中世武士団もこの本宅を核として形成され存続した。…

※「本領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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