振掛・振懸(読み)ふりかける

精選版 日本国語大辞典 「振掛・振懸」の意味・読み・例文・類語

ふり‐か・ける【振掛・振懸】

〘他カ下一〙 ふりか・く 〘他カ下二〙
① 垂らしておおいかける。振っておおいかける。
源氏(1001‐14頃)若菜下「髪をふりかけてなくけはひ、ただかのむかし見給しもののけのさまとみえたり」
② 粉末状の物を振って少しずつ物の上に落とす。まき散らして物の上にかける。散らしかける。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「畳綿の雪ふりかけたるやうなるが」
③ はなやかに振舞う。
※浮世草子・男色大鑑(1687)八「皆色めきて振懸(フリカケ)乗物つらせて押へに」
④ 振り上げて肩に掛ける。荷物などを肩に掛ける。
湯島詣(1899)〈泉鏡花〉二九「息が切れて、もう小鼓を肩に振懸ける力もない」
⑤ 二つに分ける。振り分ける。
人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三「座敷の日割勘定、見番払ひの昼夜には降(フリ)かけてもたらねへ金」
⑥ 惜しまずに相手に与える。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石停留所「滑っこい癖にアクセントの強い言葉で、舌触の好い愛嬌を振(フ)り懸(カ)けてくれる折などは」

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