座敷(読み)ザシキ

デジタル大辞泉の解説

ざ‐しき【座敷】

畳を敷きつめた部屋。特に、客間。「お客を座敷に通す」
宴会の席。酒席。また、酒席での応対。「座敷が長引く」「座敷を取り持つ」「座敷をつとめる」
芸者・芸人などが招かれる酒席。「お座敷が掛かる」→御座敷(おざしき)
しとね・円座・上げ畳など、すわるための座を敷くこと。また、そのようにした場所。通常の板敷きに対していう。
「御―に高く座を構へて」〈沙石集・九〉

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世界大百科事典 第2版の解説

ざしき【座敷】

日本の住宅で,接客などに使われる畳を敷きつめた部屋の名称。通常は床の間違棚,付(つけ)書院を備え,縁側を隔てて庭に面する構成をとる。座敷がこのような形式の接客空間を意味するようになったのは16世紀末以後である。それ以前の住宅の室内は板張りの床(農家では竹簀の子(たけすのこ)を張ったものもある)であり,人々は座具としてわらを円く編んだ円座やしとね(茵),畳などを用いた。したがって当時の〈座敷〉は,そのような座具や,座具を使って座るように準備された場所のことをいった。

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大辞林 第三版の解説

ざしき【座敷】

〔昔の家は板敷で、円座や上げ畳などを敷いて座ったところから〕
来客に応対するための畳敷きの部屋。客間。また、板敷に対して、畳が敷いてある部屋。 「 -に通される」
(多く「お座敷」の形で)芸人・芸者などが客に招かれて出る席。酒席。 「お-がかかる」 「お-を勤める」
居所。ありどころ。 「扇は風に吹けて-にたまらず/平家 一八・長門本

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

座敷
ざしき

畳を敷き詰めた接客用の部屋。古代住宅の床は板敷きで、円座や畳を敷いて座っていたが、古代末には狭い部屋で畳が敷き詰められるようになり、さらに中世末から近世初めに接客や居間に使われる部屋に畳が敷き詰められるようになった。中世後期には床・違い棚などが発生し、これらはしだいに装飾のために座敷に集められ、江戸時代初期には、座敷の正面に床と違い棚を、床を庭側にして並べ、床に接し庭に面して付書院を、違い棚に接し付書院に相対して帳台構(ちょうだいがまえ)を配する、一定の形式をもつ座敷飾りができあがった。座敷飾りは座敷の主要な装飾であるが、数寄屋(すきや)風の意匠が用いられるようになると、床以外の要素を適当に省略するのが一般的になる。座敷に続いて、座敷よりやや狭い次の間を設けるのが普通で、座敷と次の間は襖(ふすま)で仕切り、その上を欄間(らんま)とする。座敷と次の間は、続けて使うことが多い。座敷の周囲は、庭に面する縁側との間を障子とするほかは襖と壁で、江戸時代のもっとも格式の高い座敷では金碧(きんぺき)障壁画で飾られていたが、数寄屋風になると唐紙(からかみ)が多用される。内法(うちのり)以下の壁は襖と同じ構造のパネルの張付け壁、内法上の小壁は白土塗りであったが、数寄屋風になると色土壁になった。天井は棹縁(さおぶち)天井が普通であるが、格式の高い座敷では各種の格(ごう)天井が使われている。
 近代の和風住宅の座敷は、江戸時代以来の書院造の様式を継ぐ部屋で、接客の部屋であるとともに主人の居間であり寝室でもあった。このような性格から、座敷は南面する日当りのよい部屋で、家の中でいちばんよい場所を占め、その前に庭をつくった。座敷にはかならず床の間があり、違い棚や付書院や平書院がつけられることも多かった。
 しかし、大正ころから盛んになった生活改善運動により、日常生活の場でない座敷を家の中でいちばんよい場所にとることが問題にされ、第二次世界大戦後は、接客のための部屋をつくる余裕が経済的になくなり、座敷をつくらないのが普通になった。[平井 聖]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ざ‐しき【座敷】

〘名〙 (古く、室内が板敷のころ、しとね・畳・円座などを置いてすわったところからいう)
① とどまる場所。すわる場所。
(イ) すわるべき所。居場所。
※江家次第(1111頃)七「依勅定直御座敷、〈東面〉」
(ロ) 居どころ。ありどころ。
※長門本平家(13C前)一八「祈念して、目を見あげたれば、肩の座敷ぞ定りたり」
(ハ) 宮座などにおける座席の順序。
※鵤荘引付‐永正一一年(1514)「出仕百姓と四郎衛門已下衆と座敷令相論訖」
(ニ) 斬首の刑を執行する時、死刑囚がすわる敷皮を敷いた席。
※謡曲・盛久(1423頃)「さて由比の汀に着きしかば、座敷きを定め敷き皮敷きて」
② 多くの人が集まってくつろぐ場所。会合の場所。会席。宴会の席。宴席。
※史記抄(1477)一六「かかる面目もない事をば聯句にするものかとて、坐敷が无興になったぞ」
③ 能楽で、見物席をいう古い呼称。
※風姿花伝(1400‐02頃)三「申楽を初むるに、当日に臨んで、先ざしきを見て、吉凶をかねて知る事は、いかなる事ぞや」
④ 畳を敷きつめたへや。特に、客間。
※玉塵抄(1563)二四「客人をでてこなたえと云て引てざしきえ入る奏者をと云ぞ」
⑤ 宴席のとりまわし。酒席での客への応対。また、客側からの宴席での応対ぶり。
※俳諧・天満千句(1676)二「取もちかほの宗八宗八〈直成〉 立つ居つ座敷をするも見とむない〈武仙〉」
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)三「座(ザ)しきを達者につとめるのを、唄妓(はおり)の立者(たてもの)といふ」
⑥ 芸人、芸妓などが客席に招かれること。おざしき。
⑦ 監房をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧(1915)〕
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉二「新入りとしてザシキ(監房)のとば口に坐らされた俺は」

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世界大百科事典内の座敷の言及

【居間】より

…このような家族共通の居間空間を中心に展開された屋内生活は,江戸時代の後半期になると崩れてくる。それは,武家住宅で行われていた主人や嫡子は日中は座敷に居り,接客にもその場を使うという,実生活よりも社会的体面を重視する封建主義的な住い方が,庶民住宅にも波及してきたことによる。その結果,多目的に使われていた広い居間的空間は表裏二つに分割され,表側は座敷の前室的な接客空間になり,食事や家事などが裏の居住条件の悪い部屋で行われるようになった。…

【上座】より

…どこをその部屋の上座と考えるかは室の配置や構成によって異なるが,一般的にはもっとも奥まった所である。座席の配置が明確に決まっていて,一目で同席者の序列を判断できることは,人間関係を円滑にしてきたといえるが,それがもっともはっきりと示されたのはケの空間ではイロリの座であり,ハレの空間では座敷の席である。イロリでは,土間から見て正面の席を上座とする。…

【客間】より

…室町時代になると,連歌の会など人を集めて遊ぶ機会が多くなったためか,泉殿(いずみどの)とか別棟の会所(かいしよ)が接客空間として用いられるようになる。近世の武家住宅は,職務も住宅で行ったので,人が訪れることも多かったが,その接待の部屋として,床の間を備えた座敷が用いられた。民家においても,日常の接客はいろり端で行われたが,改まった客を接待するために,床の間のある畳敷きの部屋を設け,座敷または〈でい〉などと呼んだ。…

【住居】より

…(2)屋敷への入口は,唐門と棟門,棟門と冠木門といった組合せの二つの門を併置するものになり,二つの門から建物へ向かう通路の間は塀で仕切られ,唐門から中門廊の車寄へ,棟門からは遠侍へといったぐあいに,身分による建築空間の使い分けが建築配置の上にもはっきり表れるようになる。(3)足利義政の東山殿では,座敷飾として押板,違棚,書院,納戸構(なんどかまえ)などがあったが,やがて《匠明》所載の〈昔主殿の図〉のように,上段の周囲に集まり,対面の場を威厳づける座敷飾として定形化するようになる。(4)床には畳が敷き詰められ,貴人の座として上段が設けられる。…

【数寄屋造】より

…室町中期には侘茶(わびちや)を示す言葉として〈数寄(すき)〉が用いられるようになり,茶の湯を行うところを〈数寄屋〉と称するようになる。1564年(永禄7)編述の《分類草人木》に〈数寄座敷〉と出てくるのが早い例であるが,〈数寄屋〉の語もこのころには見られる。徳川幕府の大棟梁平内(へいのうち)家の伝書《匠明》(1608)に〈茶ノ湯座敷ヲ数寄屋ト名付ク事ハ 右同比 堺ノ宗易云始ル也〉とあり,聚楽第の建設された桃山期に千利休が命名したと伝えられているが,利休時代には,茶の湯座敷,小座敷あるいは単に座敷などと呼ばれることが普通であった。…

【茶室】より

…〈茶室〉の呼称は近代になって普及した。室町時代には〈茶湯座敷〉〈数寄(すき)座敷〉〈茶屋〉などの語が見られたが,単に〈座敷〉と呼ばれることが多かった。また茶会記には座敷の広さだけが記されることもあった。…

【出居】より

…出居は元来〈主人が出でて客と共に居る場所〉を意味し,来客に応じて板敷の床に円座や半畳,茣蓙(ござ)などの敷物を敷いてザ(座)を設け応対する場所であった。のちにその座をついたてで囲んで間仕切りができ,また部屋全体に畳を敷きつめたザシキ(座敷)が登場するようになる。こうしてしだいに,出居は書院造の影響などを受けて最高の接客空間へと転化していき,平常は家族の生活にまったく用いられない客間,座敷,奥座敷をも意味するようになった。…

※「座敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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