掻回(読み)かきまわす

精選版 日本国語大辞典 「掻回」の意味・読み・例文・類語

かき‐まわ・す ‥まはす【掻回】

〘他サ五(四)〙
① 手、棒などを物の中に入れて、円を描くように回す。また、乱雑にいじくりまわす。
太平記(14C後)三三「左の脇より右のあばら骨まで掻回(カキマハシ)々々、二刀まで切給ふ」
※それから(1909)〈夏目漱石〉一一「箪笥抽出を掻(カ)き回(マハ)して」
② 勝手なことをして秩序を乱す。かきみだす。
洒落本傾城買二筋道(1798)夏の床「うぬらにかきまわされてなるものか」

かき‐・みる【掻回】

〘自マ上一〙 (「かき」は接頭語) めぐる。こぎまわる。
古事記(712)上・歌謡「汝(な)こそは 男(を)にいませば うちみる 島の埼々 加岐微流(カキミル) 磯の埼落ちず 若草の 妻持たせらめ」

かい‐まわり ‥まはり【掻回】

〘名〙 (動詞「かいまわる(掻回)」の連用形名詞化一説に、「かい」は「垣(かき)」の変化したもので、もと、垣の回り、垣の付近の意とも) はずれ。端。ほとり。
※俳諧・伊勢山田俳諧集(1650)寄合「霞のそっとみゆるやま眉 谷口かひ廻りとの雪消て」

かい‐まわ・る ‥まはる【掻回】

〘自ラ四〙 (「かい」は接頭語) 回る。めぐる。
古今著聞集(1254)二〇「御堂殿、儀同三司御車に乗りぐし給ひて、御ありきありけるに、辻をかいまはりける所を、牛ことによく引きたりければ」

かい‐もとお・る ‥もとほる【掻回】

〘自ラ下二〙 (「かい」は接頭語) からみつく。もつれる。
※虎明本狂言・金岡(室町末‐近世初)「恋風がきてはたもとにかひもとおれてなふ、そてのおもさよ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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