揺れない船(読み)ゆれないふね(その他表記)high-stable cabin craft; HSCC

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「揺れない船」の意味・わかりやすい解説

揺れない船
ゆれないふね
high-stable cabin craft; HSCC

客室動揺を吸収できる船のことで,三菱重工業が 1987年に,双胴高速艇『うきしろ』 (全長 12.7m,総トン数 17t,旅客定員 12名,航海速力約 15ノット) として開発した。さらに,同社は 90年に定員 200名の揺れない大型旅客船 (全長 26.5m,総トン数 110t,航海速力 17ノット) を受注した。客室を船体から分離し,船体上に設置した油圧制御装置および衝撃振動緩衝装置の上に客室を浮かせるもので,航行中の波浪によって生じる船体と客室の運動 (上下・前後・左右) を事前に検知し,客室の運動を予測する。さらにこの運動を打ち消すために油圧シリンダを伸縮させて (±400mmまで可能) 揺れを吸収し,常に客室を水平に保つよう制御する。 2mの波高に対応でき,1.5mの波高ではほとんど揺れを感じない設計になっている。

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